
一年の始まりだった『立春』。立春から始まる色々なコト
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立春は二十四節気の中で「四立(しりゅう)」と呼ばれる季節の始まりとされる日の一つです。例年2月4日頃が立春に当たります。
正確な暦がない時代は「自然歴」といって動植物の様子を目安とする方法が使われていました。「◯◯が鳴いたら、××の種を撒く」という風に動物の動きや野生の植物のようすで今が季節のどのタイミングが推測する方法です。二十四節気の下にある七十二候は「鶯が鳴く」「魚が氷を割って飛び出てくる」という風な意味合いの物があり、自然暦の名残を思わせる内容になっています。
二十四節気は日本ではなく中国の黄河流域で作られた物を日本でも流用しているため、日本の気候とは若干ずれが出ていますが、一年を太陽の角度を使って24に区切る事で決めるため現在の暦では毎年ほぼ同じ日付で節気が巡ってきます。
「立春」は春の始まりとされる日です。昔はこの「立春」を一年の始まりとして扱う習慣がありました。この頃は一年で一番寒い時期が終わり始める頃になり、草木の芽吹きの気配が感じられるので一年の始まりとしてはふさわしい雰囲気がありますね。
ところが、旧暦の時代では前の年が終わっていないタイミングで立春になってしまう事があったのです。この事は古今和歌集の中に詠われてもいます。
年のうちに春は来にけりひととせを去年こぞとや言はむ今年とや言はむ
(年内に立春が来てしまった。昨日までの一年を去年というべきなのか、それとも今年と言うべきなのか)
有名な在原業平の孫である、在原元方が詠んだ歌です。率直ともいえる困惑が伝わる内容ですが、雅とは言いかねる作品であるため後に正岡子規などの歌人が「つまらない歌」と批判したりしています。ですが、この歌は古今和歌集の第一巻、「春上」のパートの一番目の歌となっています。古今和歌集は国家事業として作られた和歌の本で、平安貴族の教養の基礎とも言われた物です。そんな本の第一首目に置かれたという事はそれほどに立春を迎えるタイミングが大切にされていた…と思えます。「年末にお正月の象徴の日が来てしまう」という事が当時の人達にとっては大問題だったのかもしれません。
どうしてこんな事が起きたかというと、二十四節気は太陽歴に基づく物で旧暦は太陰暦、月の運行に基づくものだからです。
地球の公転周期は約365.24日となるため、4年に一回閏日を設定するだけで暦の調整がすみます。逆に太陰暦は月の運行を元にしているので3年に一度「閏月(うるうづき)」を入れて一年を13ヶ月として調整する必要があります。このように異なる2つの暦を併用していた弊害で年が開けないうちに立春を迎える原因になってしまったわけです。
ちなみに旧暦12月に立春が来る(年内立春)確率はほぼ1/2で、旧暦の1月1日に立春が来た年は朔旦立春(さくたんりっしゅん)としてとても縁起が良いとされたそうです。
前回の朔旦立春は1992年、次回は2038年と予想されています。
現代の感覚では元旦があるのに立春が年の始めでもあると言われてもピンと来ないかもしれません。でも、立春をお正月としていた名残は今でも残っています。
二十四節気の日本の気候に合わない部分をカバーするため、雑節と呼ばれる歴日が設けられていますが、その幾つかの起点となるのが立春です。茶摘み歌に出てくる「八十八夜」は立春から88日目で遅霜が出るのを警戒するタイミングとなります。平年は5月2日、閏年は5月1日となります。日付の名前の雑節は八十八夜以外にも「二百十日」と「二百二十日」があり、台風が起きやすい厄日として扱われていたそうです。
お正月に落ち着いて新年を迎えられなかった…という方は改めて立春を新年の始まりとして新しい事を始めてみる日にしてもいいかもしれませんね。
記事/ケノコト編集部
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