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まめ知識 2019.02.21

もっと知りたい日本の郷土料理 ー 群馬県『おっきりこみ』ー

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群馬の郷土料理の一つ「おっきりこみ」。二毛作が盛んな地域には小麦を使った郷土料理が多く見られますが、これもその一つです。野菜と麺を煮込むというスタイルの郷土料理は全国各地でみられますが地域によって細かな違いがあって、その土地の暮らしぶりが伺えます。

普段着のごちそう「おっきりこみ」うどんと違うポイントは?

「おっきりこみ」は幅広の麺を煮込みますがうどんとは異なる点があります。うどんの場合、コシを出すために塩を入れますがおっきりこみの生地に塩は入りません。また、うどんは予めお湯でゆでてから出汁にいれますがおっきりこみは打って切った幅広の麺をそのまま煮込み汁に入れるスタイルです。

現在ではおっきりこみは精製された小麦粉で作られる物が多いのですが、かつては小麦の精製度合いでふすまが入った普段の食事、いわゆる「ケ」の日用小麦粉と、真っ白に精製された特別な「ハレ」の日用の小麦粉が使い分けされていたのだとか。
真っ白な粉で作られたうどんは特別な時に食べる「ハレ」の日のごちそうでふすま混じりのおっきりこみは普段食べる物、という扱いだったそうです。

また、小麦粉に混ぜ込まれるのはふすまだけではなくとうもろこしの粉や、地域によってはそば粉で作るおっきりこみもあるのだそうです。そばは成長がとても早く、救荒作物としても重宝されていたので普段着のメニューに使うのはうってつけの素材といえるかもしれません。「おっきりこみ」という名前は「切っては入れ、切っては入れ」という調理法から来ているという説があり、麺の素材に関してはあまり明確なルールは設けられていないようです。

「おっきりこみ」の別名は「煮ぼうとう」。似ているけれど違う点

煮込み麺料理として有名な物には山梨県の「ほうとう」があります。小麦食文化が盛んな地域であれば簡単な作り方で家族全員がおいしく食べられる工夫が似通ってくるのかもしれませんね。

「ほうとう」と「おっきりこみ」の2つの違い

①「おっきりこみ」の方が麺が硬め
ほうとうの生地とおっきりこみの生地を比べるとおっきりこみの生地の水分量は2/3程度です。硬めの生地なのでこねるのに時間と力が必要です。

②醤油で味付けした出汁の物がある
ほうとうは甲州味噌で味付けするのが味わいの特徴を生んでいますが、おっきりこみの場合、醤油で味付けした物が多くみられます。

おっきりこみを味噌で味付けする地域もありますが、webなどで紹介されているおっきりこみのレシピを見ると醤油味の方が多くみられます。
実は醤油は、比較的近代になるまでは高級食材の扱いでした。味噌は自宅で作れますが醤油の場合大豆の他に小麦が必要となるので醤油は「買って食べる物(ごちそう)」という扱いだったのです。

群馬の南東部は醤油生産が盛んだったので他の地域より醤油が気軽に食べられた…という背景があり、豊かな時代になるにつれて醤油味が広まったようです。最初の頃は醤油での味付けは「ちょっと贅沢」といった感覚だったのかもしれませんね。

また、おっきりこみの源流は宮中料理であるという説もあります。平安末期から鎌倉初期に当時の上野国を本拠としていた新田義重が、宮中の大炊寮という宮中の食材管理を担当する部署に仕えていた時に覚えた料理を地元に戻って伝えたという物です。かつての上州の人達は普段遣いのランクの小麦を使った麺に、ちょっと贅沢して醤油を使い、日々の生活の中での楽しみとしていたのでしょう。

おっきりこみは作った翌日に温め直した物を「立てっ返し(本来はお風呂の沸かし直しを指す)」と呼んで、煮詰まった物をご飯にかけて食べる事もあるそうです。保温ジャーがなかった時代であれば、冷やご飯をおいしく食べる知恵でもあったかもしれません。水分が少ない麺も、大事な醤油の出汁をしっかり吸い込ませて、旨味を余さず味わう工夫がうかがえます。

「上州のからっ風」と言われる乾いた冷たい風が吹く土地ならではの、あつあつの煮込み麺。寒の戻りで冷える夜に頬張れば、きっと小さな幸せに心も体も満たされることでしょう。

 

記事/ケノコト編集部

 

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