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取材 2019.03.07

東京唯一の味噌蔵『糀屋三郎右衛門』~毎日食べたい「昔みそ」のコト~

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みなさんのご家庭ではどんなお味噌汁を食べていますか?味噌とひと言で表してもその色や風味は様々で、これほど家庭ごとに個性が現れる調味料もなかなかないのではないでしょうか。
スーパーのお味噌コーナーを眺めていてもその選択肢はあまりにも多く、どれを選んでいいのか迷ってしまうこともしばしば。
毎日食べるものだから、いいものを選びたい。そんなこだわり派の方にぜひ一度食べていただきたいお味噌があります。東京で唯一の味噌蔵、糀屋三郎右衛門の「昔みそ」です。(前回の取材の様子はこちら。)

『昔みそ』は呼吸しつづける生きた味噌

味噌はその栄養価の高さからスーパーフードとして海外からも注目を集めています。消化促進、美肌効果、腸内環境を整えてくれる…等々、体に良いことづくしと言われる理由は味噌の発酵に関わる酵母などの微生物や酵素の働きがあってこそ。

糀屋三郎右衛門の「昔みそ」を買い求めた際、「袋の上が開いているから、倒さないようにしてくださいね」と添えられたひと言が印象的でした。まさに味噌そのものが生きている証しです。

一般的に流通している味噌は、品質を安定させるために人工的に発酵を止めているものがほとんど。なので、このように生きている味噌に出会えることは極めて貴重でラッキーなことなのです。
袋詰めした後に敢えて密封せず、上部に紙を貼って留めているだけのシンプルな包装は、味噌が樽の中で熟成している時と同じように呼吸することを叶え、何より「フレッシュで栄養価の高い状態で食べてもらいたい」という作り手の愛情の現れのようにも感じます。

 

手作りで時間をかけるからこそ生まれる味の奥行き

糀屋三郎右衛門の味噌は昔からつくり続けている「おふくろ自慢」をはじめ、有機大豆を使用したものや、現代人好みの風味にアレンジしたものなど色味や塩分も様々です。原材料や製法へのこだわりについて、七代目・辻田雅寛さんに伺いました。

「無添加にこだわっているというよりも、お味噌って、基本的に何かを添加する必要がないと思うんです。味噌は微生物に発酵を任せて仕上がってくるもの。だから出来上がったものは一定じゃないのが前提です。」

なるほど、品質安定を優先してしまいがちな時代の中で糀屋三郎右衛門の「昔みそ」がきらりと光る存在なのは、本来味噌があるべき形を守り続けているからなのかもしれません。

「大豆も農作物だから安定して同じものが手に入るとも限りません。だから新しい品種にももちろんチャレンジします。」
材料選びの基準は、使ってみて美味しいかどうか。大豆の良し悪しは蒸した時の匂いですぐに分かるものなのだそうです。

この味噌蔵には大豆をすり潰すチョッパーやこうじを混ぜ合わせる撹拌機など最低限の機械が配置されているだけで、味噌づくりにおけるほとんどの工程は手作業で行われています。


大豆を蒸して、扇風機で冷まします。塩切りしたこうじとすり潰した大豆を混ぜたら、仕込み用の木桶までバケツを担いで運ぶ。2トン容量の木桶はそれなりに背丈も高く、この桶の中に手作業で味噌種を詰めていくというのは想像しただけでも重労働であることが伺えます。桶の中で熟成すること半年~1年。

こうして惜しみない労力と、四季折々の月日を重ねて生みだされるのが糀屋三郎右衛門の「昔みそ」。どんな言葉で表現するよりも、ぜひひと口舐めてその複雑な旨味を感じていただければと思います。機械づくりや速譲で大量生産された味噌の味との違いは歴然です。

「手間暇がかかっているものが全て美味いと言う気はないけれど、時間がかかっているものとそうでないものでは、味の深みが全然違うものです。」



最近では食育に力を入れる学校も増えてきて、「昔みそを学校給食に使わせてほしい」という要望も多いのだとか。簡単・インスタント・時短が求められる時代に育つ子供たちにとって、この味噌の味わいや熟成の工程はどんな風に響くのでしょうか。

「昔みそは、人生長くやってる人にとっては昔懐かしいものだけど、若い人にとっては新しいものに見えるんじゃないかと思っています。」と辻田さん。

糀屋三郎右衛門の「昔みそ」は、大切に継がれてきた先人たちの知恵と繊細な感性を、未来を生きる子どもたちにしっかり手渡してくれる気がしてなりません。

味噌汁のある食卓。当たり前の風景が、この先もずっと変わらないものであるために。
ぜひ毎日の食卓に昔ながらの生きた味噌を取り入れてみてはいかがでしょうか。

取材・記事/ケノコト編集部

 

糀屋三郎右衛門は明治時代に茨城県で創業。練馬区中村に拠点を移してから80年の時を刻む都内唯一の味噌蔵です。代々伝わる手づくり製法を守り続けて現在七代目。添加物を使わずに国産の材料でじっくり醸造される「昔みそ」の味わいを時代を超えて伝え続けています。
ホームページはこちら

 

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