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まめ知識 2019.04.24

日本の暮らしの言葉『春うらら』ってどんな様子?

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春と聞きますと、暖かく照る心地の良い晴れの空と彩り華やかな季節の花が咲き乱れている風景がイメージされるのではないでしょうか?「春」と聞くとそんな風に心地よいいい天気の風景をイメージしがちなのですが、その一方で「春雨」「春雷」といった風に春にまつわる気象の関わる言葉は意外と荒天を示す物も多いのです。これは季節の変わり目で気圧の変動が大きいため、雨や雷、強い風が発生しやすいためです。

柔らかな春の陽気を表す言葉

「春うらら」と思える柔らかいお天気は桜が満開の時期を越えてからかもしれませんね。
「春うらら」という表現は二つの言葉から出来ています。季節を指す「春」と形容動詞の「うららか」が合わさっており、「うららか」は漢字で「麗らか」の字を当てます。

「麗」の漢字は整っている様子を示す言葉でそれが後に「美しい」という意味でも用いられるようになりますが「うららか」とか「うらら」と読む場合、晴れた空で日差しが柔らかいという意味があります。

「麗らか」の意味を持つもう一つの季節の言葉

面白い事に「うららか」に当てる「麗」を使った言葉で天気を示す言葉はもう一つあります。「秋麗(しゅうれい)」というのがそれです。「秋麗」は秋の好天の美しさを表す表現として使われます。「あきうらら」と読んでも誤りではないのですが、現代では音読みで「しゅうれい」と読む方が一般的によく使われているようです。

逆に「春」といえば「うらら」や「うららか」が続き音読みで「春麗(しゅんれい)」とする例はほとんど見かけません。辞書の「麗らか」の用例でも「春」と組み合わせる例はありますが「秋」と「うらら」は対にならないのです。

漢字の音読みと訓読みでは受ける印象が違ってきます。「麗」を「レイ」と読むような音読みは漢字が生まれた中国で本来読まれていた音で日本に入って来た時代によって更に細かく呉音・漢音・唐音などに分けられます。逆に「麗」を「うらら」と読むような訓読みは日本人が漢字の持つ意味を日本語としてしっくり来るように考えた読み方となります。音読みはソリッドな印象で訓読みはふんわりと柔らかい印象を受ける事が多いのですがこの場合、それがそのまま、それぞれの季節の空の印象を示しているように思えますね。

秋の空は湿度が少ないため高く澄んで見えますが春は「朧月夜」や「春霞」という言葉のように空気が含む湿度のためにもやがかって風景が和らいで見える事が多いもの。晴れた空に浮かぶ雲の様子も春の方が柔らかい印象なので「麗」と書くより「うらら」と表現した方が似合う気がしますね。

「うらら」と「のどか」の微妙な違い。季節の様子の細やかな表現

WEBの辞書などで「春うらら」と調べると合わせて出てくる、形容動詞の「うららか」。「うららか」の説明に天気がよく光が明るい様子を指す事と合わせて「のどかな様子」と記載されている例も多くあります。

現代の日本語の用例では「うらら(か)」には「のどか(長閑)」の意味も含まれている、と感じる方が多いという事なのだと思いますが、言葉の意味をもう少し細かに読み解くと「麗らか」と「長閑」が示す意味は少し違っているのだそうです。「麗らか」は晴天の日差しが輝く様子であり、「長閑」は「静かでのんびりとした様子」であり概念としては「時間の流れ」を表すのだとか。

日常生活でここまで厳密に言葉の意味を使い分ける事はあまりありませんが、和歌や俳句、文学作品などで良い天気を表現する時に「麗らか」や「長閑」が使われていた場合、 作者の人が表現したかった細かなニュアンスがよりしっかりと理解できるかもしれませんね。

生活が慌ただしいと言葉も短く省略したり一つの言葉に色々な意味を持たせたりして雑に表現してしまいがちですが、時に深呼吸して季節の様子を丁寧に表現する言葉を味わう事を楽しんでみたいですね。

記事/ケノコト編集部

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