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まめ知識 2019.06.26

日本の言葉『梅雨』にまつわる季語あれこれ

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『梅雨』という言葉を聞くと「また雨か……」と感じるでしょうか。それとも「潤いをもたらしてくれる大切な水」と感じるでしょうか。

梅雨頃に降る雨は夏の生活を支える大切な水源ともなります。以前、大変な「空梅雨(からつゆ)」となった時、ダムの水位が極端に下がってしまい、給水源が必要になった地域もありました。その時、空っぽに近くなったダムは皮肉にも被害が多く出た台風の豪雨によってようやく満たされたのだとか。

日本では北海道、北方領土、小笠原を除くほぼ全ての地域で梅雨があります。昔から梅雨時の雨は生活に関わる大切な物だったので梅雨にまつわる季節の言葉はたくさんあります。

「梅雨」という言葉の定着は江戸時代から。かつては「五月雨」

今では当たり前に使っている「梅雨(つゆ)」という言葉ですが、意外にも一般的に使われるようになったのは江戸時代以降になったからなのだそうです。気候の大きな変動があってそれまでは梅雨に当たる季節の変化がなかった、という事ではなく旧暦である「太陰太陽暦」では大体5月頃が梅雨の長雨の時期に当たったので「五月雨」と書いて「さみだれ」と言っていたのです。

「つゆ」という言葉も元々水滴を指す言葉です。それが次第に水分を指すようになった他、湿っぽい様子も意味に含む事になります。「露」と書いて「つゆ」と読むのは水蒸気が集まって水滴になった物のことですし、「汁」と書けば出汁を使った物という意味合いです。すまし汁の事を「おつゆ」と言ったり、醤油を加えた物は「めんつゆ」と言ったりしますね。

古語では「はかなく消える」という意味にも「つゆ」を当てます。一定の期間が過ぎれば去って行く季節の移ろいという意味でも「つゆ」の音が当てられたのかもしれません。

「つゆ」という言葉が定着して行く中で「梅が実る頃の長雨」として使われようになって今に至る、という見解が現代では一般的です。カビが生えやすくなる、という意味で「黴雨」と書いて「つゆ」と読む事もありますが、やはり梅の字の方が風情を感じられる気がしますね。

梅雨に入る事を「入梅」と言いますが、これは二十四節気の仲間の雑節の一つで立春から数えて127日目、ちょうど6月の11日か12日頃に当たり、平均的な梅雨入りの時期と大体同じになるようです。現代のように詳細な気象観測での梅雨入り宣言がなかった頃は農事のタイミングを計る大切な物差しだったそうですよ。

「薬降る」大切な天からの恵み。梅雨が明けるといよいよ夏

旧暦の5月5日は端午の節句でもありますが、「薬日」とも呼ばれ、薬草によって厄払いする風習もあります。元々は香りの強いよもぎや菖蒲を薬草として魔除けに用い、無病息災を願う行事であったのです。それが次第に菖蒲の音が「勝負」に通じ、また菖蒲の葉が剣の形と似ている事から男の子のための節句に変化したのだそうです。

梅雨の間にやってくる本来の薬日としての旧暦5月5日に降った雨は、神水として大切に扱われたのだとか。空梅雨で晴天が続くとこの薬の水は手に入りません。降るべき時期に雨が降る事のありがたさを知る意味でも大切な行事だったのかもしれませんね。

入梅と対になる言い方では梅雨が明ける事を「出梅(しゅつばい)」と言います。これはおおよそ入梅の30(31)日後とされていました。また、入梅について立春の127日後ではなく135日後とする考え方や、「芒種」の後の最初の壬(みずのえ)の日とし、出梅は夏至の後の最初の庚(かのえ)の日(6月末頃)、または小暑の後の最初の壬(みずのえ)の日(7月中旬)頃とする事もあり、地域によって入出梅の時期が異なるためかと考えられます。

ニュースで見聞きする気象観測による正確な物とズレがあるかもしれませんが、農事の日付は地域に根付いた経験則で作られてきた物です。
雨が降って憂鬱な時も、夏に向けて水を蓄える時期、と考えると大切さが感じられるかもしれませんね。

記事/ケノコト編集部

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