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まめ知識 2019.08.01

もっと知りたい日本の郷土料理―宮崎県―『冷や汁』

暑くなって食欲が落ちる時期、食べない事でさらに体がバテてしまう……そんなお困りの時にもおいしく食べられる夏のメニュー「冷や汁」。基本形は「冷やご飯に冷たいお味噌汁をかける」というスタイルで、全国的に普通に食べられて来た、名前もつかない、料理とも言えないような”日常食”かもしれませんね。

実際に冷蔵庫や電子レンジがなかった時代のおじいちゃんやおばあちゃんに言わせると、「農作業が忙しい時の合間に、暑いから味噌汁を温め直すのも面倒で朝の冷やご飯に残りのお味噌汁をかけてささっと食べてまた畑に戻ったりした」というように、ご飯と味噌汁が食事の基本だった頃は家事の簡略方法とも言える食べ方だった事もあるようです。
そのためか、日本の各所で夏の郷土料理とされている事もありますが、一番有名な物といえばやはり宮崎県の「冷や汁」ではないでしょうか。

冷や汁ってどんな料理?

「冷や汁」も冷やご飯に冷たいお味噌汁をかけるのが基本スタイルの料理ですが、普通のお味噌汁をかけた物とは全く違います。その秘密は味噌に魚を加えて焼く事。

味噌汁の作り方が出汁を取って野菜を入れて火を通し、味噌を溶き入れて仕上げるのに対し、「焼いた鰺などをほぐして味噌とすり合わせ、その味噌を香ばしく焼いてから冷たい出汁で溶き伸ばして、豆腐や薄切りのきゅうり入れ、よく冷やして冷やご飯にかける」というのが宮崎県の冷や汁レシピの基本です。

この作り方だと魚が入る分、濃厚な味わいになり、味噌を焼く事で香ばしい風味も出ます。残りもののお味噌汁をかけた物とは味わいが全く違ってくるのです。また、昔ながらの作り方だと魚と味噌をすり鉢ですった後、味噌をすり鉢の肌に塗り広げて直火であぶる、という方法なのだとか。

家庭ごとの個性が見える郷土料理

現代の冷や汁レシピを調べてみると、面白い事がわかります。
・鰺の干物などを焼く代わりに鯖やツナの水煮の缶詰や、炒ったちりめんじゃこを使う
・味噌をあぶるのは直火ではなくオーブントースターやフライパンを使う

こんな風に現代の日本に合った方法にアレンジされたレシピがたくさん見つかります。冷や汁は元々家庭料理なので、他の地域にも見られるように家庭によって作り方や材料が異なるそうですが、魚を焼き魚から水煮缶に変える事や焼き方のアイディアも最初に誰かが思いついた後、ご近所での口伝えや、今ではwebを介して共有されて変化しているのかもしれませんね。

現代の日本は外国からの多様な食文化が入ってきたり、生活様式の変化から調理の簡略化が図られたりと言った理由から、風土に根ざした伝統的な物に新しい物がたくさん混じってきています。
昔は「米と味噌があれば生きられる」と言われた事もありました。主食である米と塩分が取れる発酵食品である味噌は、日本という土地で暮らす上で体を支えてくれる大切な食べ物だったのです。味噌は時には薬としても扱われていた物。夏場、疲れがちな時においしく塩分とミネラルを補給する意味でも冷や汁はおすすめです。

冷房で冷えた身体にも

冷たい物の食べ過ぎで胃腸が弱っている感じがする時は、ご飯もお汁もキンキンに冷やした物ではなく、温かいご飯にかけてぬるめに調節して食べてもおいしい冷や汁。また、できたてのきゅうや薬味がパリパリしている食感も捨てがたいのですが、おすすめは半日または一晩ほど冷蔵庫で寝かした後の冷や汁です。きゅうりが味噌と出汁の塩分で脱水して、最高の浅漬け状態になっているんですよ。

宮崎出身のあるお家では「魚を入れると濃厚すぎるので出汁がはっきりと色づくほどの濃いいりこだしにして、味噌に入れる魚を省いてあっさりと仕上げて作る」という工夫をされていたり。おばあちゃんのレシピは鰺の干物を入れていたそうなので、家族の好みに合わせて家庭内でも次第にレシピが変化しているのも家庭に馴染んだ料理ならではです。

冷や汁は、レシピを選べば簡単にトライできる郷土料理。栄養バランスも良いのでぜひ「我が家の好みのレシピ」を作り出して、お味噌のパワーで夏の体を養ってみて下さいね。

記事/ケノコト編集部

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