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まめ知識 2019.08.28

日本の言葉 「蝉しぐれ」 暮らした場所によって違う夏の音

暦の上では秋ですが、日中はまだ蝉(セミ)の鳴き声が聞こえてきますね。
夏の風物詩はたくさんありますが「蝉しぐれ」もその一つ。蝉の鳴き声が聞こえると「ああ、まだ夏だな」と感じます。

「しぐれ(時雨)」というのは本来一時的に降る雨、特に雨量はそれほど多くないけれど雨足が強い雨の意味で使われます。
また、時雨は本来であれば秋から冬に起きる現象で、「時雨」という言葉自体は冬の季語となります。
「蝉しぐれ」という言葉ができた頃は、夏に鳴き立てる蝉の声を冬の季語に結びつける事で、一時の涼を感じようとしたのかもしれませんね。

蝉しぐれ

「ミーンミーン」「ジジジジ」「カナカナ」それぞれ、どの蝉の声?

ちなみに皆さんは「蝉しぐれ」と呼ばれるような蝉の声といえばどんな声を想像するでしょうか。日本では、蝉は分布を違えながら数多くの蝉が生息しているため、一言で「蝉」と言ってもイメージする声が違うかもしれません。

アニメや動画で夏の表現として使われる事が多いのは「ミンミンゼミ」。コミックなどでも効果音で「ミーンミーン」と描かれているのをよく目にしますね。
ミンミンゼミは北海道南部から九州まで分布しているので、多くの方にとって馴染みのある蝉の鳴き声といえるのかもしれません。
分布が広いという意味では茶色い「アブラゼミ」も同じですが、アブラゼミの「ジジジジジジ」という鳴き声は、効果音などに使用されるケースはあまり見かけない気がします。

また、鳴き声が美しいとされる蝉としては、「ヒグラシ」がいますね。「カナカナカナカナカナ」という高い澄んだ鳴き声のセミです。
ヒグラシの鳴き声は、アブラゼミやミンミンゼミの鳴き声より涼しい印象がある、という方も多いのではないでしょうか?
実は、ヒグラシは明け方や夕方のような、少し気温が下がったタイミングで鳴く事が多いのです。ちなみにヒグラシは夕方に鳴くから「日を暮れさせる物」が転じてついた名前だという説もあります。

涼しい林や森に住む蝉の鳴き声を聞く人にとって蝉しぐれは夏の間の一瞬の涼となり、暑い時間に鳴く蝉の声に親しんでいる人に取っては熱気を思い出させる物となっているかもしれませんね。

蝉

時代や環境で変化する「蝉しぐれ」

昨今、国内の蝉の分布にも時代とともに変化が出てきているそうです。
かつてはクマゼミと呼ばれる大型の蝉は九州を中心に分布し、関東地方ではほとんどみられませんでした。神奈川県が北限とされていたこの蝉は最近では金沢市でも発生が認められたそうです。
温暖化の影響もあるかと思いますが、関東地方でのクマゼミの発生は局所的で、大田区や東京ディズニーランドなど、移植によって作られた人工林で多く見られるため植林のために樹木を採取した九州などから根に付いて移動したのではないかと考えられているようです。

クマゼミが初めて関東で現れた始めた頃は「なんだかいつもの年とは鳴き声が違う蝉がいる」という感覚だったのが、今ではその鳴き声が「当たり前の夏の音」となっている人もいるかもしれませんね。

蝉の声を季節の音と意識するのは日本で育った人ならではで、蝉しぐれに馴染みのない国から来た人は時に「何の音?」と驚く事もあるのだとか。また日本で生まれ育った方でも、引越しなどで新しい地域の夏を経験した際には、「あれ、聞いたことのない蝉の声がする」と思うこともあるかもしれません。
時には自分にとっての蝉しぐれの音はどんな音だったかなと思いを馳せてみるのも、夏ならではの楽しみかもしれませんね。

夏の森

記事/ケノコト編集部

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