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知るコト 2019.09.26

『茶の湯の世界へようこそ』ー9.お茶菓子のこと

和菓子とは?

お茶で出されるお菓子には、主菓子(おもがし)と干菓子(ひがし)の2種類があります。
濃茶の席では主菓子、薄茶では干菓子が出されますが、薄茶だけの席の場合は両方出されることもあります。
主菓子とは、練り切りやきんとん、羊羹、夏には葛で作られた生菓子などがあり、茶道では季節に合わせた花や果物などを模った見た目にも美しいものが用いられます。


干菓子は漢字のとおり、水分を含まない日持ちのするお菓子で、落雁や金平糖などです。

これらを総じて“和菓子”と呼びますが、そのルーツ、また、いつ頃から今のような和菓子がお茶の席で提供されるようになったのでしょうか?

和菓子のルーツ

表千家では入門してから先生の紹介があれば、同門会という会に入会できます。入会すると月に一度“同門”という会誌が送られてくるのですが、家元のお言葉やその月の行事、千家に伝わる貴重なお道具の紹介などなど勉強になる内容が詰まっています。
その中で今年は“和菓子こぼれ話”という和菓子のルーツについての虎屋文庫さんの連載があり、とてもおもしろいので抜粋でご紹介させていただきます。

まず、日本の始まりからの歴史書である日本書紀に“菓子の神様”の田道間守(たじまもり)が登場しています。
垂仁天皇の命で常世の国に渡り不老長寿の“非時香菓(ときじくのかくのこのみ)”(=橘の実とされる)を持ち帰ったと伝えられています。この頃から長く菓子とは果物や木の実のことでした。今でも果物を水菓子と呼びますね。

現在の“菓子”に至るまでには様々な外国の食べ物の影響を受けているようです。
最初は飛鳥〜平安時代に遣唐使によって中国からもたらされた唐菓子。穀物の粉を加工する製法がのちの菓子作りに大きな影響を与えたようです。源氏物語では梨などの果物とともに椿餅を食べるシーンが、また、枕草子では削り氷に甘葛(葛を煮詰めた甘味料)をかけたものが登場しています。かき氷にシロップをかけて食べるなんて、平安時代の人がとても身近に感じますね。もっとも当時このような甘味料は大変貴重で貴族だけの楽しみだったようです。さらに紫式部日記には子供の成長祝いである“五十日の祝”で戴餅と呼ばれる餅が用意されていたそうで、現在のお食い初めのルーツとされています。
こういった文献のどこにお菓子が登場するのか、改めて読んでみるのも楽しそうですね。

和菓子の代表格のような饅頭と羊羹も鎌倉〜室町時代に中国から伝わったのが最初だそうです。
当初は今とは全く違うもので、羊羹は字のとおり、羊肉の汁物だったとのこと。それから400年近く立って江戸時代後期に現在の形になったそうです。

では、茶の湯を大成させた千利休の安土桃山時代はどうだったのでしょう?
やはり当時は栗、柿といった果物や、現在の形になる前の甘くない羊羹、饅頭が用いられたようです。
砂糖を大量に使用する南蛮菓子が渡来したことに後押しされ、江戸時代に入ってようやく現在の四季を模した上生菓子が登場しました。
虎屋さんの菓子見本帳に四季折々のたいへん美しい銘を付けられた和菓子が残っています。

左から「花いかた」「しら藤」「水山ふき」「たつ田餅」「小しきし」


(出典:菓子資料室 虎屋文庫『元禄8年(1695)菓子見本帳』より)

お茶の席ではすべてに席主の思いが込められています。もちろんお茶菓子にも。
チョコレートにコーヒー、クッキーとサンドイッチに紅茶、チーズにワイン、ついでにカステラに牛乳、どれも素敵なマリアージュですが、お茶菓子の背景やそこに込められた菓匠の思い、季節感、席主のおもてなしを感じながらいただく抹茶と和菓子はまた格別なもの。ぜひ味わってみてください。

 

コラム/すずきりさ
約20年に渡り東京から世界を飛び回る生活をて、結婚・出産を機に地元新潟にUターン。
自然の中での子育てと家族の時間をのんびり満喫する中で、改めて新潟の魅力に気づく日々。茶道の勉強も再開しながらライフワークバランスを模索中。
茶道表千家講師。

 

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