
『茶の湯の世界へようこそ』ー10. 茶道にも遊びの要素
目次
こちらのコラムを始めたきっかけは、自身が20年のブランクののちに改めてお稽古を始めお茶の良さに気づき、もっと多くの方に気軽にお茶の世界を知っていただきたい、というところでした。
どうしても“茶道”というと閉ざされた印象という声をよく聞きます。確かに本来一生をかけて精神を追求するものなので、やさしいものではないかもしれません。しかし、お茶の席というのは主人と客のおもてなしの場であり、数々あるお点前の中でも参加者全員がゲーム感覚で楽しめるものもあるのです。
利き茶?闘茶?ゲーム?−茶カブキとは−
表千家7代目如心斎が制定された「七事式」の中の一つで、表千家HPでも“闘茶に似た遊びを含む式法”と紹介されています。
闘茶という利き茶のような遊びは鎌倉時代から上流階級の間であったようですが、それを茶道に取り入れたのが7代の如心斎(1705−51)です。
内容としては、亭主1名、筆記役1名、連客(通常4人)で、まず連客が亭主の点てる2種類の濃茶をいただきます。
その後、再度亭主がさきほどの2種類にもう1種加えた3種類の濃茶を点て、先に飲んだ2種類がどれか、そして2種類以外のものはどれか、というのをあてる利き茶です。
お濃茶の味はそれぞれ特徴があり、最初の2服をいただいた際には違いがわかっているつもりなのですが、その後3服いただくうちに私はいつも最初の自信が打ち砕かれます。笑
味覚の修練が足りないのかもしれませんね。
客4名全員があてられる回は私は経験したことがなく、良くて1名が3種類すべて正解というのが多いように思います。正解が出ると自分以外でも盛り上がりますし、外れたら外れたで盛り上がりますし、いつもは静かなお茶室が茶カブキの席ではたくさん会話が生まれます。
真味を知る
お茶は鑑定士ということになるかと思いますが、唎酒師やワインソムリエといった資格ではそれこそ何千種類とあるお酒の種類と原材料、産地、そして年代まであてられるというのは本当に研ぎ澄まされた感覚であると思います。
茶カブキを含めた七事式とはもともと茶の湯の精神、技術をみがくために制定された稽古法で、茶カブキの偈頌としては「干古干今裁断舌頭始可知真味/いにしえにいまにぜっとうをせつだんしてはじめてしんみをしるべし」とあり、舌三寸の味の判断ではなく、それを断ち切ることによって真味を知れとの教え、とのことです。
なかなかに厳しい教えですが、こういった精神を少しでも理解した上で、今後もやはりたまには楽しくわいわいと皆様とお稽古を進めていきたいなと私は思います。
コラム/すずきりさ
約20年に渡り東京から世界を飛び回る生活をて、結婚・出産を機に地元新潟にUターン。
自然の中での子育てと家族の時間をのんびり満喫する中で、改めて新潟の魅力に気づく日々。茶道の勉強も再開しながらライフワークバランスを模索中。
茶道表千家講師。
その他のおすすめ記事
『茶の湯の世界へようこそ』ー9.お茶菓子のこと
『茶の湯の世界へようこそ』ー8.お茶の歴史と抹茶について”
『茶の湯の世界へようこそ』ー7.茶道の道
このカテゴリの記事

収納場所で変わる!『子どもが自ら片付ける習慣を』

【七十二侯のコト】第六十九候「雉始雊」

寒いから着こなしに工夫を『暖かく動きやすく!子ども服の着方のコツ』

美味しい時期はたったの2ヶ月!自宅で美味しいタラの白子を味わおう
関連記事

暮らしの話~ 「子供たちに関わりたい」幼い頃の夢を現実に 鈴木麻友子さん~

自分と周りは違うんだ『自信をもてる人は美しい』

5つ子母からのメッセージ『悩むたびに人生は豊かになる』

着付けってどうやって覚えるの?『着物はじめてさんの知りたいコト』

一石二鳥!大掃除しながら運気をアップする3つの方法

コメント