
『茶の湯の世界へようこそ』ー11. 風炉と炉
目次
私の住む新潟ではすっかり稲刈りも終わり、秋の色が濃くなってきました。田舎で暮らすと四季の移り変わりを感じることが多いように思います。
風炉と炉
茶道では季節が大きく分けて2つ、夏と冬、それぞれ風炉(ふろ)と炉の季節です。
風炉の季節は4月から10月、炉の季節は11月から3月です。
いずれも火を入れて釜の湯をわかす道具ですが、利休が侘茶を大成する前は風炉のみで、炉は利休が囲炉裏にヒントを得て考案したとされています。
暑い時期は風炉でお客様から火を遠ざけ、寒い時期はよりお客様に近い位置で暖かさがより広がるような形で火を炊くという気づかいを感じられます。
炉は畳と床板の一部を切ってはめ込むもので、使わない時は畳で蓋をします。季節によってインテリアも柔軟に変えるアイデアは素晴らしいですね。
最近ではめっきり減ってしまった畳、夏は涼しく冬は暖かくハウスダストにも強いとされています。
小さい子供がいる間は転んでも畳なら痛くないですし、老犬や老猫などペットの足にも滑りにくいので優しいです。
私の家ももともと祖父母の家でほとんどが畳の部屋だったのですが、老朽化が進んでリフォームをする際、リビングと寝室をフローリングにしてしまったのを息子が歩き始めてから後悔しました。
炉から風炉への移行は、ただ道具を入れ替えるだけではありません。
灰とリサイクル
“茶の湯で用いる灰は、使うたびに消費されるのではなく、使い終わったら集め、雑物を除き、茶汁をかけて、自然乾燥させ、ふるって、適当な湿り気のある炉の灰(濡れ灰)にする。
この濡れ灰をさらに乾燥させ、乳鉢ですって細かくしたものが風炉の灰である。このように、茶家の灰は一年周期で循環する”(『灰形と灰の作り方』 指導:堀内宗心)
中に敷いている灰を、炉で使っていたものを原料とし、茶汁で一度濡らし十分乾燥させます。その後、数種類のふるいにかけ、最後は乳鉢で擦って細かくします。
この一連の作業はまさに修行とも言える大仕事で、毎年一人で母がやっていたかと思うと尊敬しますし、お稽古以外の場でもお茶の修練というものがあることを改めて知りました。
また、そのようにして作った灰の敷き方次第で炭の火の起こり方が異なり、湯の温度、沸くタイミングも変わってきます。本当に、使う道具の一つ一つに無駄がなく意味があり、想いがあるのだなあとわかります。
日常生活でも、最近は使い捨てのものも多くなってきましたが、このように物を大切に、循環させて生きていけたらいいなと思います。
コラム/すずきりさ
約20年に渡り東京から世界を飛び回る生活をて、結婚・出産を機に地元新潟にUターン。
自然の中での子育てと家族の時間をのんびり満喫する中で、改めて新潟の魅力に気づく日々。茶道の勉強も再開しながらライフワークバランスを模索中。
茶道表千家講師。
その他のおすすめ記事
『茶の湯の世界へようこそ』ー10. 茶道にも遊びの要素
『茶の湯の世界へようこそ』ー9.お茶菓子のこと
『茶の湯の世界へようこそ』ー8.お茶の歴史と抹茶について”
このカテゴリの記事

早くて簡単!アルミホイルで包むステーキのおいしい焼き方とは?

すらっとした女性らしい指に!『ほっそり指やせ?見せ方上手のコツ』

ジューシーでふっくら!ホッケのおいしい焼き方とは?

安いステーキ肉を柔らかくする下ごしらえの方法とは?
関連記事

【七十二侯のコト】第七十一候「水沢腹堅」

伝統を守りながら時代に合わせて変わり続ける、暮らしの器『笠間焼』

自分と周りは違うんだ『自信をもてる人は美しい』

女性に嬉しい効果がいっぱい!この春はクレソンを堪能しよう

簡単!ジューシーなとうもろこしの美味しいゆで方とは?

コメント