
戦前は「新嘗祭」が行われる祭日だった。11月23日「勤労感謝の日」のこと
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新天皇が即位し、元号が平成から「令和」に変わった2019年。さまざまな皇室行事がニュースになりましたね。11月23日は「勤労感謝の日」。もともと「新嘗祭」という皇室の祭典が行われる日でした。今年最後の国民の祝日、勤労感謝の日と新嘗祭についてご紹介します。
勤労感謝の日の意味と由来
11月23日は、もともと「新嘗祭(にいなめさい・しんじょうさい)」と称される祭典を行う祭日であり、休日でもありました。古代から稲作を中心とした農耕が行われてきた日本では、農作物の実りに感謝する祭りや行事が各地で行われてきました。新嘗祭は「新しくとれた穀物を神様にそなえる」皇室の行事です。「新」とは新穀のことで、その年に初めて実った稲穂を意味し、「嘗」にはごちそうの意味があります。新嘗祭がいつから行われているのかははっきりしませんが、飛鳥時代の皇極天皇(642年)のころに始まったのではないかと伝えられています。
太平洋戦争後のGHQの政策により、天皇が関わる祭日と国民の休日は分けて考えるようになり、1948(昭和23)年の「祝日法」制定時に「勤労感謝の日」として、国民の祝日となりました。「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とされています。
新嘗祭とは?
「新嘗祭」は休日ではなくなりましたが、皇室の中では最も重要な祭典として、今でも11月23日に行われています。具体的にどのようなことが行われるのでしょうか。
宮中にある神殿において、夕方から深夜にかけて2回の儀式が行われ、「天照大御神(アマテラスオオミカミ)」とすべての神々に神膳をお供えします。この神膳は、その年の新穀で作られた食事で、天皇陛下がお供えをし、自らも食します。神様と食事をともにするのは、天皇陛下だけができることです。新穀で神様に向けて感謝のおもてなしをするとともに、天皇陛下も新穀を食することで来年に向けて新たな力を得ます。このようにして翌年の豊穣を約束する行事が「新嘗祭」です。
新嘗祭は、11月の「2番目の卯の日」と定められていましたが、太陽暦(新暦)が採用された明治6年の11月の2番目の卯の日が11月23日で、翌年以後そのまま新嘗祭の日になりました。
2019年は大嘗祭が行われる特別な年
2019年は新天皇即位にともなう「大嘗祭(だいじょうさい)」が行われます。大嘗祭とは、新しい天皇が即位して初めて行う新嘗祭のこと。儀式の内容はほとんど同じですが、次のような違いがあります。
♦日程の違い
大嘗祭は11月の2回目の卯の日。11月14日から15日にかけて執り行われます。
♦場所の違い
「大嘗宮(だいじょうきゅう)」という仮設の斎場で行われ、祭儀が終わるとすぐに撤去されます。
♦初穂の違い
新嘗祭で使う初穂は「皇室献上米」が奉納されますが、大嘗祭では特別に2つの地域が選ばれます。今回は京都府と栃木県から新穀が献上されます。
新天皇が即位されたときだけに執り行われる行事ですので、注目したいですね。
勤労感謝の日の行事・イベント
新嘗祭は皇室だけではなく、三重県の伊勢神宮、島根県の出雲大社をはじめ、全国各地の神宮や神社でも行われます。また、新嘗祭の祭事のひとつ「どぶろく祭」、五穀豊穣を祝う「梵天祭(ぼんてんまつり)」など、全国で農業まつりが行われ、農林水産品評会が開かれます。
勤労のおかげで農作物が実ることに感謝する、「勤労感謝の日」の本来の意味がこうした祭りや行事に受け継がれていますね。
記事/杉本雅美
日々の生活の中で、無理のない程度に四季の変化を感じ、ひと手間かけることを心がけて夫とふたりで暮らしています。フリーのライターとしてインタビューやイベントレポート、暮らしに関することなど、多様な情報をお届けしています。
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