
西洋では太陽の復活を盛大に祝う、一年で一番昼が短い「冬至」のこと
目次
「冬至」は、北半球では一年で最も昼が短く、夜が長いころのこと。この日を境に再び日照時間が伸びていくところから、古代には冬至が一年の始まりだったそうです。
冬至は太陽が生まれ変わる日
昼が最も長い夏至から冬至までは、徐々に日足(日の出から日没までの長さ)が短くなり、冬至以後は、反対に日足が伸びて日照時間が長くなります。このことから、中国の天体思想では、冬至は太陽の運行の出発点、暦が始まる日と考えられていました。現在の「正月」の時期は、冬至を一年の始まりとしていたところが、暦の不完全さにより時期がずれてしまったことによるものです。
また、冬を「陰」、夏を「陽」とする「陰陽思想」によると、夏至の日から徐々に陽のパワーが弱まり、陰のパワーが大きくなってしまったので、冬至の日を境に太陽のパワーが復活し、次の夏至の日に向かってどんどん力を増して行きます。
冬至を「太陽復活の日」や「太陽の誕生日」とする思想は、世界各国に見られます。
日本では、冬至には「大子(おおいこ)」と呼ばれる神の子が新しい生命力を与えるために村里を訪れ、この日から春に向かうという信仰があります。
西洋のクリスマスは、太陽の復活を祝う古代ヨーロッパの風習と、イエス・キリストの生誕が結びついたものと考えられています。スコットランドでは、クリスマスを「ユール」といいますが、これは古代北欧民族が冬至のお祭りをユールと呼んでいたことの名残りだということです。
ゆずとかぼちゃは魔除けになる黄色の食物
冬至には「一陽来復(いちようらいふく)」という別名があります。冬至は太陽が再スタートをする日。太陽の影響を受けて、「悪いことが続いていてもこの日でリセット。運気が甦り、良い方向へ進んでいく」と考えられてきました。運気を上げようと、冬至の日にはいろいろな風習がありますね。
日本の冬至と言えば、よく知られているのが、ゆず湯に入り、かぼちゃを食べる風習です。ゆずもかぼちゃも、どちらも黄色い食べ物です。黄色は昔から「魔除け」の色と言われています。実際にはこれから冬の寒さが厳しくなるわけですから、冬を無事に乗り越え、暖かい春を迎えられるようにという願いから生まれた習慣なのでしょう。栄養学的に、ゆずもかぼちゃもビタミンが豊富な食べ物。実際に風邪の予防に役に立っていたと思われます。
「ん」がつく食べ物が幸運を呼ぶ?
また地域によっては、みかん、うどん、コンニャクなど「ん」がつく食品を7つ食べると幸運になると言われているところもあるようです。冬至に食べられるかぼちゃは「南京(なんきん)」とも呼ばれ、「ん」が2つもついていますね。
昔は冬至のころには秋野菜の収穫が終わり、食べられる野菜がほとんどなくなってしまいました。そんな季節には珍しい野菜類を冬の祭りに供えたところから、この習慣が始まったようです。さまざまな食品をバランスよく食べることは健康につながります。健康でいることが一番の幸福と考えるのは、昔も今も変わらない人々の願いですね。
2019年の冬至は12月22日(日)です。運気を良くする冬至の風習を行い、元気に新年を迎えてくださいね。
記事/杉本雅美
日々の生活の中で、無理のない程度に四季の変化を感じ、ひと手間かけることを心がけて夫とふたりで暮らしています。フリーのライターとしてインタビューやイベントレポート、暮らしに関することなど、多様な情報をお届けしています。
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