
『茶の湯の世界へようこそ』ー15. ゆく年くる年
目次
年末のお稽古納めが終わり、新年の初稽古である初釜を控えている中、お稽古納めでいただく食事について少し書かせていただきます。
埋み豆腐
年末のお茶のお稽古納めの日は、私の教室では流し点てといってお道具も簡素なものでシンプルなお点前を全員ひととおりやった後、先生が“埋み(うずみ)豆腐”を作って労ってくれます。
埋み豆腐はもともとは京都の郷土料理だそうです。お椀にごはんをよそい、真ん中にくぼみを作ったお豆腐を、そのくぼみの中に昆布、貝割れ大根、柚子をひとかけのせ、丁寧にとった出汁に白味噌を溶いたものをかけます。忙しい時期にせめてものおもてなしで、そしてさっと食べられるという意図もあるようです。付け合わせにはゆずり葉の上に乗せた焼き魚、いくら、だし巻き卵、お漬物、が私の教室では定番となっています。
譲葉 ゆずりは
“春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから。その様子を、親が子を育てて家が代々続いていくように見立てて縁起物とされ、正月の飾りや庭木に使われる”
ウィキペディアにはそのように載っています。別名“親子草”とも呼ぶようです。
花言葉は主に、若返り、世代交代、譲渡、新生だそうで、まさに年末年始にぴったりの植物で、季節と共にある茶道に好まれるのもわかりますね。
ゆく年くる年
年末はどうしてもやることが溜まってしまいまさに師走というスピードで駆け抜けて行きましたが、いざ年が明けるとすっかり忘れてしまうといいますか、リセットされたつもりでぼーっと過ごしてしまいがちです。新年にあたり目標でも立ててみたいのですが、目の前にあることとやりたいことが多すぎて絞れないというのが今年の正直なところです。
私の2歳の息子を見ていると、昨年は保育園入園の年で最初はありとあらゆる風邪菌をもらい夏頃まで半分くらいしか登園できない日々した。仕事にも行けず、ただ気持ちだけ焦る毎日だったように思えます。それが、10月に2歳を迎えると先輩ママさんたちの助言どおり、みるみると丈夫になり12月は初の皆勤賞でした。仕事とやりたいことに集中できるのも、息子はもちろん、家族が無事に健康に過ごせているからなのだと、あらためて日常に感謝です。
お稽古納めの日は、大徳寺黄梅院太玄住職の“無事”という書が飾られていました。これは祖母が持っていたもので、30年以上前、私がまだ小学校低学年の頃の祖父母の家での正月の集まりの写真にも写っているのを見つけました。長年私たち家族の無事を見届けてくれているのだなあと感慨深いです。
今年もきっとあっという間に過ぎ去るのだと思いますが、年末には、あーなんかいろいろあったけどとにかく無事で万々歳!と言えるような一年にしたいというのが唯一はっきりと言える目標のような気がします。
コラム/すずきりさ
約20年に渡り東京から世界を飛び回る生活をて、結婚・出産を機に地元新潟にUターン。
自然の中での子育てと家族の時間をのんびり満喫する中で、改めて新潟の魅力に気づく日々。茶道の勉強も再開しながらライフワークバランスを模索中。
茶道表千家講師。
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