
『茶の湯の世界へようこそ』ー16. 新年の迎え方
目次
大福茶
新年となりすでに1ヶ月近く経ってしまいました。
表千家の家元では、新年は元旦の大福茶から始まるそうです。大福茶とは新年を祝って元旦にいただく縁起の良いお茶で、病を除き福をもたらすものとして古くから広く一般にも行われていたようです。以下表千家会報の“同門”の2020年1月号より、現家元猶有斎の文章をお借りします。
家元においては元日の早朝に残月亭※に家族と内弟子が集い、戸を閉め切って光も入らない状態で、家元が練った濃茶をみなで飲み廻します。蝋燭の明かりだけという厳かな雰囲気のなか、一碗を飲み廻すことで新年を寿ぎその年の無病息災を願う、そんな茶家ならではの風習のなかで、あらたまった気持ちで新年を迎えることになります。
出典:表千家会報の“同門”の2020年1月号
※残月亭について
暗闇でのお茶、なんともいえない神秘的な雰囲気での年明けなのですね。
先日の大嘗宮の儀でも天皇皇后がお二人で暗闇で天照大神と対峙する空間があったようですが、そのような神がかった、少し違う世界と隣り合わせのような雰囲気を想像しました。
初釜
私の通う教室では、1月の上旬に初釜という新年に初めて行われる稽古がありました。
この日はまず先生が濃茶を振る舞い、続いて生徒が薄茶を一服ずつたてます。
いくつか決まりごとがあり、この日床の間に飾る茶花は青竹の花入れに結び柳と椿となっています。
結び柳、もともと中国で船で旅立つ人を見送る際に、川岸にあった柳を結びあわせて再会=無事に帰ってくることを願ったという風習からきているようで、ゆく年からくる年へのご縁を表しているそうです。椿は紅白それぞれ一輪づつ。柳と合わせて奇数となるのは割り切れなく、また、柳の円は永遠をも意味しているようです。
日常に込められた意味
日常でも新年の行事や食べ物にも様々な意味が込められていますね。みなさまもそれぞれの家庭、地域で新年の迎え方は様々だと思います。
私の住む新潟の下越地方では、初詣(さらに私の住む地域では大晦日と元旦をまたぐ二年参りが多いように思えます)の際に神社の境内に古くなったお札などを焚き上げる火があると思いますが、そこでスルメを焼くのが風習です。なぜスルメなのか?というと、縁起物なので無病息災、足が多い=商売繁盛、スルメ=寿留女ということで嫁いだ先で幸せに長くいれるように、といった様々ないわれがあるようです。
そうやるのが当たり前すぎて意味まで考えたことがなかったこと、実はたくさんあると思います。改めてそれぞれについて調べてみるのもとてもおもしろいですし、伝統・文化を大事にしようという気持ちが出てくるのではないでしょうか。
コラム/すずきりさ
約20年に渡り東京から世界を飛び回る生活をて、結婚・出産を機に地元新潟にUターン。
自然の中での子育てと家族の時間をのんびり満喫する中で、改めて新潟の魅力に気づく日々。茶道の勉強も再開しながらライフワークバランスを模索中。
茶道表千家講師。
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