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まめ知識 2020.03.24

春は旅立ちの季節。「卒業式」と第二ボタンのエピソード

社会人にも学生さんにとっても、春は出会いや別れの季節。3月には日本全国の学校で卒業式が行われますね。幼稚園や保育園、小学校・中学校・高等学校・大学…各学校の修了ごとに卒業を祝う式典を行うのは、日本と韓国のみ。世界的に珍しい習慣なのだそうです。

卒業式が行われるようになったのは明治時代から

「卒業式」は、教育課程を全て修了したことを認定し、そのお祝いをする式典のこと。日本では、学校教育法施行規則によって定められた学校行事です。式典で「卒業証書」を授与することから「卒業証書授与式」、それを短縮して「卒業式」と呼ばれるようになったようです。大学や大学院では、卒業証書ではなく「学位記」を授与するので、「卒業証書・学位授与式」が正式な呼び方です。

日本の卒業式は、1872年(明治5年)の学制の施行にともない、各学年ごとの試験修了者に対して卒業証書を授与していたことに由来します。

当初は、現在のように、1年生、2年生、3年生…のような学年学級ではなく、学校で学びたいと希望する子どもは年齢に関係なく、まず「下等小学第8級」に入り、半年後の試験に合格してその級を「卒業」。7級に進級するというシステムだったようです。つまり進級することが卒業でした。卒業式が現在のような儀式として定着するようになったのは、明治10年代ころだと言われています。

やがて、大学が出来始めると海外にならい「一斉入学・一斉進級」のスタイルが導入されました。あわせて9月入学、そして8月卒業の仕組みが取り入れられました。

1886年(明治19年)に国の「会計年度」を4月から3月とする仕組みがスタートすると、国からの指導により、「学校年度」も徐々に4月から新学期ということになっていったようです。1890年ごろに、4月に入学、3月に卒業する「教育制度」が定着しました。

卒業式の「第二ボタン」。意味や由来は?

毎日一緒に過ごしていた大好きな仲間との別れ。先生から贈られた一言が一生忘れられない言葉になったなど、卒業式にはさまざまな思い出が残っていることでしょう。勇気を出して「好きな人から第二ボタンをもらった」「好きだったあの子に第二ボタンをあげた」――そんな、甘酸っぱい思い出がある人もいるかもしれませんね。

第二ボタンは、「学ラン」と呼ばれる男子生徒の詰襟の制服の上から二番目のボタンのこと。男子学生が好きな女の子に自分から第二ボタンをあげることもあれば、女子学生が「第二ボタンをください」と告白する場合もあります。第二ボタンは心臓に近い場所にあるので、ボタンをあげることは「ハート(心)をあげる」、ボタンをもらうのは「ハートをつかむ」という意味があります。

また、詰襟の学生服についている5つのボタンにはそれぞれに意味があり、
1番上は自分
2番目が大切な人
3番目は友人
4番目が家族で、5番目はその他の人。
相手にとって「1番大切な人になりたい」という気持ちで第二ボタンを贈ったりもらったり、という説もあります。

卒業式に第二ボタンをあげたりもらったりするようになったのは、軍服に由来があるようです。
第二次世界大戦の終わりころになると、若者たちが強制的に戦争に行かなければならなくなりました。日本は物資が不足していて軍服を用意することができず、少年たちは詰襟の制服のまま入隊したそうです。戦地に赴けば2度と会えないかもしれないという旅立ちの時に、一番大切な人に自分の形見として渡したのが制服の第二ボタンでした。1番上のボタンがなくてはだらしがなく上官に叱られるので、目立たない2番目のボタンが選ばれたといわれています。

節目を大切にする日本の卒業式

卒業式をきっかけに、大切な人に思いを伝える第二ボタンの風習。今ではブレザーの制服を着用する学校が増えて、第二ボタンに代わり、ネクタイをあげたりもらったりしているようですね。いずれにしても、いつまでも伝わり続けてほしいロマンティックな習慣です。

卒業式は次のステップへ進むための節目の行事。思い出に残る1日になるといいですね。

記事/杉本雅美

日々の生活の中で、無理のない程度に四季の変化を感じ、ひと手間かけることを心がけて夫とふたりで暮らしています。フリーのライターとしてインタビューやイベントレポート、暮らしに関することなど、多様な情報をお届けしています。

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