
『茶の湯の世界へようこそ』ー18. 着物の世界
目次
着物、和服とは日本の民族服ともされていますが、TPOに応じた格付けと種類があるのはご存知でしょうか?
代表的なものでよく知られているものでは成人式の時に着る振袖、慶弔時の正装とされる黒紋付があると思いますが、それ以外にも留袖(振袖は未婚女性、留袖は既婚女性)、訪問着、付け下げ、色無地、小紋、が染めの着物、織で模様を表すものとして紬があります。
京染卸商業組合さんのHPが写真付きでわかりやすかったのでご参考までに。
茶道と着物
茶道では普段のお稽古から勉強会、お茶会と基本的には着物で臨むことが多いです。
私は昨年になってようやく着付けの勉強を始めなんとか自分で着られるようになりましたが、着付けもやはり先生から教えていただくお稽古が大事で、ただ着ることと綺麗に着ることは全然違うということを身に沁みて感じています。
お茶の場で好まれる着物は主に“やわらかもの”と言われ、絹糸で白生地を織り、後から色を染めた生地で作られた着物です。(対して“かたい”とされるのが上記の紬などです。)
理由としては先ほどの着物の格付けと、お茶を点てる際の動作の邪魔にならないことや音が出ないこと、などがあります。(実際に釜でお湯が沸く音しか聞こえない空間では、衣摺れの音がとても大きく感じることがあります。)
さらに柄としては帯も含め、あまり華美なものはお茶の場には似合わないようです。
江戸小紋について
お茶をやるにあたり一つ持っていれば安心、と言われる着物に“江戸小紋”があります。
こちらは江戸時代の武士の裃(かみしも=時代劇でよく見かける着物の上から着る肩のとんがったベストのようなもの)から発展したもので、遠目では無地に見えるほどの小さな柄(小紋)を全体にあしらえた着物です。当時ぜいたく禁止令という法令があったため無地に見えるような地味な印象となったようですが、当時の武士の粋なおしゃれ心を感じます。また、柄によってその武士の所属がわかる(徳川将軍家は“十字小紋”、紀州徳川藩は鮫の皮のような模様の“鮫小紋”、薩摩島津藩の“大小あられ”など)、いわゆるユニフォームだったものもあります。
こちらの江戸小紋を染めるにあたり型紙となるのが伊勢型紙です。重要無形文化財にも指定され、昭和30年代には6名の職人の方々が人間国宝に指定されました。1cm四方に100個以上の穴を彫ったものもあるという究極の職人技です。残念ながらご存命の方はいらっしゃらないようですが、こういった貴重な伝統文化を守るために保存会が発足し活動されているようです。
先日、一目惚れした江戸小紋の生地で、自分のサイズに着物を仕立ててもらいました。今までは祖母から仕立ててもらったもの、母から借りたものでしたが、初めて自分で作った着物です。柄は“千成り瓢箪”と呼ばれ大変縁起の良いものだそうで、人間国宝の六谷梅軒さんの2代目の方の型紙です。
絹は保存が良ければ本当に長い間そのままの形で残る、素晴らしい素材です。
これは一生物として、様々な機会に着ていきたいと思っています。
私の住む地元新潟にも、たくさんの素晴らしい織物があり、今後ご紹介できればと思っています。
自分の国の世界に誇れる伝統衣装、もっと身近に楽しめるといいですね。
コラム/すずきりさ
約20年に渡り東京から世界を飛び回る生活をて、結婚・出産を機に地元新潟にUターン。
自然の中での子育てと家族の時間をのんびり満喫する中で、改めて新潟の魅力に気づく日々。茶道の勉強も再開しながらライフワークバランスを模索中。
茶道表千家講師。
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