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知るコト 2020.04.17

世界に誇る丈夫な通学カバン「ランドセル」のこと

小学校6年間、毎日通学を共にする「ランドセル」。小学生のランドセルは、実は日本独自の通学カバンなのだとか。丈夫で機能的なランドセルは、どのようにして小学生たちに受け継がれるようになったのでしょうか。

軍隊のリュックサックがランドセルの原型

日本のランドセルは、江戸時代にオランダから伝わったransel(ランセル)と呼ばれる布製のバックパックが原型だと言われています。
江戸時代の末期、日本に西洋の軍隊制度を導入する際、兵士が自分の荷物を運ぶため、「背(はい)のう」と呼ばれる布製のリュックサックが採用されました。

背のうが通学カバンになったのは明治10年のこと。学習院初等科が学校指定のカバンを設けたことが始まりです。
当時、学習院の子どもたちは、教科書を風呂敷に包んで歩いて通学する生徒もいれば、馬車や人力車で登校したり、使用人が荷物を持っていたり、通学の形態がさまざまでした。その後「教育の場では平等に」という理念の下、馬車や人力車での送迎、使用人に荷物を預けることを禁止して「学用品は自分の手で持ってくる」ように改めました。

そこで採用されたのが背のうだったのです。両手が荷物でふさがらず、子どもたちの安全が確保されるカバンだと考えられました。背のうはオランダ語で「ランセル」と呼ばれていたことから、通学カバンは「ランドセル」と呼ばれるようになりました。

学校指定のカバンができると、自分で身支度を整えて通学する習慣が身につき、自立教育にもつながったと言われています。

箱型ランドセルを始めて使ったのは大正天皇だった

明治20年、布製でリュックサックに近い形をしたランドセルが、現在のようなしっかりとした箱型ランドセルへと変わります。
伊藤博文が、のちの大正天皇が学習院初等科へ入学するお祝いに、軍の将校が使う箱型のランドセルを贈りました。このランドセルを原型に、3年後には素材が黒革に決定し、明治30年には形状や寸法などが統一され、現在も「学習院型」と呼ばれるランドセルが完成しました。現在でもランドセルの基本的なスタイルはまったく変わっていません。

ランドセルが長く使われているのには理由がある

戦前に作られたランドセルは強度のある牛革が使われていたことから、ぜいたくな高級品でした。ランドセルは都市部の上級家庭から普及していきましたが、地方や一般家庭の子どもたちは、布製のカバンや風呂敷で通学していました。全国に広がったのは昭和30年代の高度成長期を迎えたころからです。牛革のような天然素材だけではなく、合成皮革のランドセルが作られるようになり、軽さや背負いやすさが追求されるようになりました。

お父さんやお母さんが小学生だったころは、男の子が黒、女の子が赤のランドセルが定番でしたね。21世紀に入るとカラーバリエーションが豊富になり、内側の生地やファスナーの形など細かい部分にアレンジを加えたランドセルが登場しました。個性や好みでランドセルを選ぶ時代になったと言えるでしょう。

箱型のランドセルは両手が自由になるというメリットに加え、次のようなところが優れています。
1.荷物が整理整頓しやすく、活発な子どもが走り回っても中身がばらばらになりません。
2.側面の厚みがクッションの役割をします。子どもが後ろに倒れても、頭を地面に打ちつけないですみます。また、子どもどうしがぶつかった時には衝撃を和らげます。
3.箱型のランドセルは重心が高く、重さを感じにくい設計になっています。

海外にもランドセルに似た通学カバンがありますが、子どもの安全を考え、6年間使い続けることを前提にデザインされた丈夫なカバンは他にはありませんね。
4月からランドセルデビューをする小学1年生。長く受け継がれているランドセルに誇りを持って、愛用していただきたいと思います。

記事/杉本雅美

日々の生活の中で、無理のない程度に四季の変化を感じ、ひと手間かけることを心がけて夫とふたりで暮らしています。フリーのライターとしてインタビューやイベントレポート、暮らしに関することなど、多様な情報をお届けしています。

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