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取材 2015.11.28

バターのように口の中でとろける刺身?未来に残したい日本の食『魚の神経〆』のコト

日本人にとってとても馴染み深い「刺身」。
鮮度や〆方によって旨みや食感が変わる、とても奥深いものです。

みなさんは『魚の神経〆』という言葉を聞いたことがありますか。
名前を聞いたことがあっても、実際は食べたことがない人が多いのではないでしょうか。

その美味しさは、神経〆した魚しか食べられなくなってしまった人が続出するほど。
そんな神経〆を調査するために、宮城県石巻市のフィッシャーマン、大森圭さんに密着取材してきました。
魚の神経〆にあえて取り組む彼の想いもご紹介します。

バターのように口の中でとろける、10日間寝かせたアイナメ

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「コチラ、神経〆したての刺身と寝かせて熟成させた刺身です。食べ比べてみてください。」

石巻にある「四季彩食 いまむら」にて、大森さんが神経〆したお魚をいただきました。思わず食べた瞬間に「うまい」という言葉がこぼれてしまいました。

神経〆したての刺身は弾力があり、口の中で踊るような食感が楽しめます。
さらに衝撃的だったのは、神経〆後、10日間寝かせたアイナメのお刺身。口に入れた瞬間、バターのようにとろけて甘みがこぼれてきます。旨味の未体験ゾーンに突入した瞬間でした。

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続いて、神経〆をした穴子をいただきます。穴子がフワフワッと膨張していて、ここまでやわらかな穴子は初体験でした。これほどソフトな食感なのに、その旨さは暴力的。この穴子を食べるためだけに石巻に出張できそうです。

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締めには、神経〆をしたタコの釜飯。
タコなのに、スルメを食べているように、噛んでも噛んでも旨味が出続けてきます。こちらも旨味の未体験ゾーンへ。タコがこんなに美味しくなることに驚愕しました。

口コミで全国の高級料理店から注文が舞い込む

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「大森さん、状態のいいタケノコメバルが欲しい。いい魚は揚がってる?」

大森圭さんの携帯電話には、毎日のように全国の高級料理屋から連絡が入ります。
彼は、全国の漁師や卸仲間と「魚の旨味の最上を目指す」ネットワークを結び、スマホで魚の情報をやり取りしています。
大森さんのスマホを見せてもらうと、この日は東京の寿司屋からLINEが届いていました。「大森さんのアイナメを10日間寝かせてみたよ。」彼は料理人と一緒に「旨味の最上を目指した一皿」をつくるために調理方法や料理人の好みによって処理を変えているとのこと。
こうして大森さんは、日本中の高級料理店に「一匹の魚を究極に高く売る」仕事で業績を伸ばしているのです。

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獲ったモン勝ち漁業から良い処理したモン漁業を目指す

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彼はこの仕事について、こう語ります。

「漁獲量の減少・魚価の低迷・後継者の不足・一般家庭の魚離れ。これが、現在の漁業の現状です。魚価が低迷しているからこそ、漁業者は、大量に漁獲することに奔走しています。しかし、このまま量を追求し続けることに、生態系や漁業にとっての未来はあるのでしょうか。
大森式流通では、漁業を量から質に転化させて、「良い処理をした人が勝つ未来の漁業をつくること。」を目標にしています。

現状では、手間ひまをかけて処理をした旨い魚でも、それが市場に出たときに、価格が上がるわけでは、決してありません。大量に漁獲された魚を流通させる、いまの水産流通からすると、これは非常に非効率なことです。

しかし、良い処理をした人が勝つ未来の漁業をつくるためには、あえてそんな非効率に挑みたい。処理の仕方で価値を高めて売る、そんな新しい方法を実証したい。
大森式流通では、志を共にした漁師と共に、海の上から処理をはじめることに観点を置いて、皿に乗るときのおいしさの「最上」を目指しています。
非効率に挑みながら、旨い魚を提供し続けて、良い処理をした人が勝つ未来の漁業をつくっていきたいです。
獲ったモン勝ち漁業から良い処理したモン漁業へ。

漁業の新しい未来を創るために取り組んだのが「魚の神経〆」でした。今日も彼は、既存の市場では「あえて非効率なこと」に挑み続けています。

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大森さんの魚を取り扱う方々のお話

「広尾 鮨 心白」石田さん

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大森さんのお魚を仕入れ続けるようになった決め手は「魚の扱いの良さ」でした。氷の当て方、梱包の仕方の丁寧さなど、気遣いがちがいます。魚種で分けて梱包してくれたりもするので、箱の数は増えますが、状態が良い魚を使うことができています。私と一緒になって一皿をつくりあげていく姿勢で臨んでくれるので、彼の人柄も仕入れ続けている大きな理由の1つです。

「つきすそ そごう横浜店」吉見さん

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大森さんの魚は品物の目利きがしっかりしているため、クオリティが高くてぶれがありません。なので、安心して使っています。また、お店に合う魚を話し合いながら最適に処理してくれるので、お客さんからの満足度も高いです。今までうちでは刺身で提供していなかった魚を神経〆にして提供できるようになったことも収穫でした。「一緒に勉強させてください」という姿勢で研究熱心に接してくれるので、一緒になって品質を高められる、そんな相手です。

文/小澤 亮 撮影/平井慶祐・小澤 亮

大森式流通

大森式流通では魚の収穫・下処理・保存・梱包・保管・提供の各工程を研究し、飲食店に対して最高の状態の鮮魚をお届け。
「旨みの最上」を目指して処理をした魚を提供します。

『大森式流通』ホームページ

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