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まめ知識 2020.07.12

「涼をとる」ということ。暑さと上手に付き合うための日本の伝統的な風習

梅雨が明けて本格的な夏の到来です。高温多湿な日本の夏は、不快で過ごしにくいこともありますね。エアコンや扇風機がなかった時代、日本人は夏の暑さをしのぐ工夫を重ねてきました。伝統的な「夏の暮らし方」を見つめ直し、この夏を心地よく過ごしてみませんか。

涼しさを演出する夏座敷

松尾芭蕉が詠んだ夏の俳句に、「山も庭も動き入るるや夏座敷」があります。

この句の季語は「夏座敷」。日本の家屋は、湿気の多い夏に備えて間口を広く取り、風通し良く作られています。夏には障子やふすまを取り払い、竹ひごなどを組み風通しをよくした夏障子をはめると、日差しが和らぎ、風がゆるやかに吹き抜けます。このように風通しをよくし、調度品を夏向きに整えた空間を「夏座敷」と呼びます。

冷房が普及した現在は、インテリア雑貨やファブリックで見た目の涼しさを演出するようになりました。夏座敷を整える家庭は少なくなってきていると思いますが、風を感じるための知恵は受け継ぎたいですね。窓から入る風が家の中を循環するように家具の配置を変えたり、玄関のドアを少し開けたり換気扇を回したり、風通しを見直しましょう。

五感で涼しさを感じる工夫

夏座敷を整える他にも、日本には昔から「触れる」「視る」「聴く」「味わう」「匂う」といった五感を使って涼をとる工夫をしてきました。たくさんの知恵がありますが、その一部を紹介します。

1.肌で感じる涼

◆朝夕に道路や庭先に水を撒く打ち水は、気化熱によって地面の熱が大気中に逃げ、気温が下がります。

◆麻やいぐさは、重宝にされている代表的な夏向けの素材です。天然のいぐさは、室内の湿気を調整する機能があります。麻は水分を早く吸い、速乾性にも優れています。クッションカバーやラグ、スリッパなどに取り入れると快適に過ごせます。

2.目から涼を呼び込む

◆室町時代に金魚が伝わると、家の中に水辺の景色を作って楽しむために金魚鉢が作られました。最初は陶器の鉢や木製の水槽に金魚を泳がせ上から眺めていましたが、江戸時代にガラス製の器が普及し、ひらひらと泳ぐ姿を横から鑑賞するようになりました。

◆すだれやよしずは、真夏の強い日差しを遮り、風を通します。すだれはつるし、よしずは立てかけるものです。また風の通り道にのれんをかけると、風のそよぎを感じることができます。

3.涼やかな音色

◆夏の風情と言えば風鈴を思い出す人が多いのではないでしょうか。軒先につるした風鈴の済んだ音色が聞こえると、家の中に風が通ったことを実感します。

集合住宅などでは、音の配慮が必要になりますが、室内の風の通り道に吊るすのも風情がありますよ。

4.涼感や季節感を舌で味わう

◆氷を細かく削り、甘いシロップをかけたかき氷は、夏の暑さを忘れさせてくれますね。赤い文字で「氷」と書かれたのぼりを見つけると、つい足が向いてしまいます。かき氷の歴史は古く、平安時代に書かれた有名な随筆「枕草子」にも登場します。

◆昔から旬の食材をとり入れ、その季節ならではの体の不調を補う考え方があります。
夏の旬の食材の代表格がウリです。スイカやキュウリ・トウガンには、体の熱を下げ、余分な水分を出す利尿作用があります。ビタミンCが豊富なゴーヤは、日焼け対策にも夏バテ防止にもピッタリです。

5.鼻から感じる涼

◆匂いをかぐと体感温度が4度下がると言われるほど、スーッと爽やかなハッカ(ペパーミント)の香り。お風呂に数滴垂らして入浴すると清涼感のある香りが立ち、湯上りの肌に風を当てれば寒いくらいの涼感を得られます。

新型コロナウイルス対策で、今年の夏はマスクをつけ、換気に気を配り、例年以上に熱中症が気になります。エアコンを使うことはもちろん大切ですが、涼をとり入れる工夫をしながら暑さと上手につき合いたいですね。

記事/杉本雅美

日々の生活の中で、無理のない程度に四季の変化を感じ、ひと手間かけることを心がけて夫とふたりで暮らしています。フリーのライターとしてインタビューやイベントレポート、暮らしに関することなど、多様な情報をお届けしています。

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