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得するコト 2021.12.11

【手袋のコト】~ものづくりの現場から~80年間変わらない、東かがわ市の手袋会社の1日。

この度、江本手袋さんとコラボ商品を作るということになり、私たちは初めて香川県東かがわ市に向かいました。東かがわ市は、東京から1時間、高松空港からは車で1時間の場所にあります。

引田の海岸沿いの港町を歩きながら、神社を過ぎた先に江本手袋さんの工房とファクトリーショップがありました。

江本手袋さんは、手袋づくりをすべて手仕事で行っています。元々この地域は昔から手袋の町として栄えたことで、町中の家で手袋の内職を行っていたそうです。そのため、町のあちこちからミシンの音が響いていたのだとか…。

江本手袋3代目の江本昌弘さんは「この地域に住む多くの人にとって、一番落ち着く音はミシンの音じゃないかというぐらい、町にとって欠かせないもの。江本手袋では今でも内職さんが家で手袋を縫っています」とおっしゃっていました。

工房には、2人の職人さんがいました。主に裁断を担当する新一さん、そして縫製を担当する繁子さん。繁子さんは、中学校を卒業してからもう50年も手袋を縫い続けているとのこと。

今回は、お2人の手袋職人の1日に密着しました!

手袋職人の1日

朝は掃除から

江本手袋の朝は、掃除から始まります。これはもう何十年も続く習慣だそうで、「ゴミが出たらその都度掃除するんだけどね」と新一さんは言います。

簡単な打ち合わせ

新一さんと繁子さんは、新しい依頼があればデザインを見ながら簡単な打合せをします。手袋の作り方は全て体が覚えているため、裁断の形や縫い方に悩むことは滅多にないとのこと。デザイナーが持っているイメージと、そのデザインを通じて伝えたいことを頭に思い描きながら手袋に落とし込むそうです。

簡単な打ち合わせを終えたあとは、新一さん、繁子さんとそれぞれ自分が持つ仕事を進めていきます。

新一さんの手仕事

生地の裁断


手袋づくりのスタートは生地の裁断です。長年使いこんでいる裁断用の大刀を使い、一息に切ります。新一さんは普段物差しを持たないそうです。手袋を構成する全てのパーツの形状と必要な生地の大きさが、長年の経験ですっかり頭の中に入っているとのこと。
思わず「刀で指切ったことないんですか?」と聞いてみると、新一さんは笑いながら「一度もないよ」とおっしゃっていました。

荒裁ち

先ほど裁断した生地を、さらに手袋の大きさに近づけていくために「荒裁ち」を行います。簡単な台紙を目安に、どんどん生地が切られていきます。

近くで見ると、音も大きく迫力のある荒裁ち。新一さんが布を進める速さに、少し怖くなってしまうほど。熟練の技を見ているようです。

本裁ち


次は、金型と圧裁断機を使って、生地を手袋の形に抜いていきます。新一さんは荒裁ちした生地にそっと金型を置いて、圧裁断機にかけました。ペダルを踏むと「グワシャーン」という音が響き、生地が手の形になっていくのです。この機械は60年以上昔から使っているもので、一度も壊れたことがないとのこと。
ちなみに、生地の上に置く金型の位置は「勘」という…。恐れ入りました。

繁子さんの手仕事

新一さんが裁断した生地を使って、手袋を縫い進める繁子さん。手袋を縫うミシンは通常のミシンよりもはるかに小さい。これは手袋を縫う際の細かい作業に対応できるように小さいそうです。

このミシンを使って、手袋の本体、親指、まち、の3種類のパーツを縫い合わせていきます。実際に見てもらうと分かるのですが、縫うスピードが本当に速く、何が起こっているのかわからない状態です。繁子さんは、パーツを一瞬でズレなく重ね、こちらが不安になるほどペダルを強く踏み込み、生地のきわどい内側をまたたく間に縫い上げていきました。

繁子さんも新一さん同様、一切印をつけることなく縫い進めていきます。50年間ミシンに向き合っている繁子さん、手袋を縫うコツは?と聞くと「着ける人が喜ぶことしか考えてないから」と恥ずかしそうに教えてくれました。

取材を終えて

工房を訪れたとき、昌弘さんに「せっかく来ていただいたので、手袋作りますよ」とおっしゃってくれました。生地を選び、新一さんが型抜きをし、繁子さんが縫う。あっという間に、手袋が完成しました。

手袋をはめてみると、びっくりするくらい馴染み、どこか優しい感じがしました。手袋職人が手仕事で1から作った手袋は、肌触りもつけ心地も最高のものでした。

80年間、地元の産業を守り、職人を守り続けている江本手袋さん。「いつかこの町を、もう一度手袋職人のあふれる町にしますよ」と3代目昌弘さんは笑顔で語ってくれました。

江本手袋ホームページ

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