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食のコト 2021.08.24

ひき肉をおいしく解凍する方法とは?

いろいろな料理に使えて便利なひき肉ですが、他の方法で加工されたお肉と比べるとあまり日持ちがしないため、冷凍保存している人も多いようです。せっかく冷凍したひき肉をおいしく食べるための上手な解凍方法を紹介します。

ひき肉は塊肉より劣化が早い


冒頭でも触れたとおり、ひき肉は塊で店頭に並んでいるものと比べると日持ちがしにくいのが難点です。日持ちが難しい理由は主に3つあります。

①空気に触れる面積が大きい
お肉は空気に触れると酸化してしまいます。塊肉に比べて圧倒的に断面が多いひき肉は、空気に触れる面積もほかのお肉より大きいのです。

さらに、加工過程でも空気に触れる機会が多い可能性があります。部位別で売られているお肉はひき肉ほど手を加えられていませんが、元は塊だったものをミンチ状に加工しているひき肉には、多くの加工手順と時間がかかっています。その間にも空気に触れ続けてしまっているというわけです。

②加工手順が多い
加工手順が多くなればなるほど、雑菌が付着する可能性も高まります。生肉についた雑菌は繁殖が早いため、劣化スピードも早まります。

③脂肪分が多い
ひき肉は、単体では固くて売り出しにくい部位やほかの部位をカットするときに出た切れ端などが使われていることが多く、なかには脂の多い部分も含まれています。ひき肉を加熱するとたくさん油が出るのはこのためです。

油分は酸素と結びつくと酸化しやすいという性質を持っています。「脂肪分が多い=酸化しやすい」ために日持ちも短くなってしまいます。

鶏ひき肉は特に他のひき肉よりも劣化が早い

加工方法を問わず、牛・豚・鶏の中で最も劣化が早いのが鶏肉です。牛や豚よりも含有水分量が多いことが主な原因です。

加えて、鶏肉に多いといわれる「カンピロバクター」という菌も問題です。カンピロバクターは家畜の腸に付着している菌で、人の体内に入ると2~7日で発熱や腹痛、下痢、吐き気などの症状を引き起こします。鶏に限らず牛や豚にも存在しているのですが、身体が小さな鶏では他の部位にも付着しやすいと考えられています。

先ほど紹介したとおり、ひき肉に加工する過程は菌が繁殖しやすいことや、ひき肉にはさまざまな部位が含まれていることもあり、安全に食べられるまでの期限は短いとされているのです。

ひき肉をおいしく解凍するポイント


ひき肉をおいしく解凍するためには、解凍時に気を配っておきたいポイントがいくつかあります。しっかりとポイントを理解しておくと、どんな解凍方法を選べばいいのか判断しやすいでしょう。
ひき肉をおいしく解凍するためには、「ムラなく」「低温でゆっくり」「半解凍」を目指すのがコツです。

解凍ムラを抑える

「解凍ムラ」とは、冷凍した食品を解凍する際に全体に均一に温度変化が伝わらないことによって起こるもので、肉類であればいわゆる“半煮え”になってしまった状態のことです。
解凍ムラが起こってしまうと、ひき肉の内部にまだ凍っている部分と熱い部分が存在することになり、内部から旨味を含んだ水分(ドリップ)がどんどん溶けて流出してしまいます。多量にドリップが流れ出たあとのひき肉はパサパサして味気がなく、お世辞にも“おいしい”とはいえないでしょう。
解凍ムラを抑えるためには、“全体にムラなく温度変化が伝わること”が重要です。

急な温度の変化を避ける

全体にムラなく温度変化を伝えるためには、急な温度変化を避ける必要があります。
「高い解凍温度であれば早く解凍できるのでは?」と思いがちですが、ひき肉の解凍では、どんな解凍方法を選んだとしても「表面から内部に向かって熱が伝わる」点には変わりありません。その際、ひき肉の温度と解凍温度の差が大きければ大きいほど、内部まで熱が伝わらないうちに外側が“解凍”状態を超えて“加熱”状態にまで進んでしまいます。

外側を適度な解凍状態に保ちつつ内部にまで熱を伝えるためには、「低い温度でゆっくりと」解凍を進めることがポイントです。適度な解凍状態にあるひき肉の適温は0℃前後ですので、解凍温度が5℃を超えるようであれば、内部に熱が伝わるのを待つ間には外側は適正温度を超えている、と考えてよいでしょう。

外側を適温に保ちながら内部にまで熱が伝えるためには、低温でゆっくりと内部まで溶けるのを待つのがベストです。

半解凍の状態で調理する

実は、一度冷凍されたお肉には、完全に解凍してしまうと解凍前の状態より多くのドリップが流れ出てしまうという性質があります。お肉に含まれている水分が冷凍によって凍る際に膨張することが原因で、繊維を断つことによってお肉の食感が柔らかくなる反面、ドリップが出やすくなるというデメリットも抱えています。

解凍時のドリップを防ぐためには、「中はまだ少し凍っているかな?」くらいの状態(半解凍)を目指すのがおすすめです。半解凍であれば、ドリップが出る前にひき肉の旨味を閉じ込めたまま調理を開始することが可能です。加えて、半解凍のひき肉は手で割りやすく包丁でも切りやすいため、調理で扱いやすい点も魅力的です。

ひき肉をおいしく解凍する方法

ひき肉をおいしく解凍するためにもっともおすすめなのは、氷水を使う方法です。しかし、解凍したいタイミングや調理方法によってはほかの方法がマッチする場合もありますので、いくつかの方法を覚えておくと便利です。

氷水で解凍する

少しの手間と時間を要しますが、ひき肉の解凍でもっともおすすめしたいのは「氷水解凍」です。ひき肉を氷水に浸けて解凍する方法で、適温をキープしてドリップを抑えながら解凍することが可能です。氷水の水温は-2℃から1℃ほどで、食品が溶けるギリギリの温度だといわれています。氷が解けて水温が上がるようであれば、氷を追加しながら0℃前後を保ちます。
刺身の解凍など鮮度を求められる食品の解凍でよく採用されている方法でもあります。

【手順】
①ひき肉が濡れないよう袋に入れて密封します。冷凍用保存袋に入っているものであっても、万が一に備えて二重にしておくとよいでしょう。

②ボウルに氷水を張り、ひき肉を浸します。ここでポイントとなるのが「ひき肉全体が浸かっていること」。袋ごと浮いてくるようであればお皿などを裏返して重しがわりにのせます。

③水温をみながら適時氷を追加し、0℃前後を保ちます。

【解凍時間の目安】
500gで30分~1時間

冷蔵庫で自然解凍する

氷水解凍と並んでおすすめしたいのが、冷蔵庫で自然解凍する方法です。氷水解凍では水温チェックが欠かせませんが、2~5℃で安定している冷蔵庫であれば、冷凍室から冷蔵室に移しておくだけ、と手間いらず。解凍完了後にも安定した低温環境を保てますので、解凍後すぐに調理できない場合にも安心です。

いいことだらけの方法のように思えますが、注意したいのは解凍時間についてです。
冷気で庫内を低温に保つ冷蔵庫の場合、気体よりも熱伝導率の高い液体で解凍する方法と比べると解凍にかなりの時間がかかってしまうのです。
事前にひき肉を調理することがわかっている場合には逆算して冷蔵庫に移しておくことができますが、急いで解凍したい場合には不向きな方法でしょう。

【手順】
ひき肉を使う予定から逆算して(前夜がおすすめ)冷凍室から冷蔵室に移しておきます。

【解凍時間の目安】
500gで5時間

フライパンで解凍する

フライパンで炒めものに使う場合におすすめの方法です。フライパンで解凍し、そのまま調理をすすめることができますので、手間も洗い物も少なく済むのも魅力です。ただし、短時間でムラなく解凍するためには、ちょっとした工夫が必要です。
凍ったひき肉をそのまま炒めてしまうと、外側から加熱が進んで崩れていき、内部が現れるころには外側にあったひき肉は焦げ始めてしまいます。効率よく全体的に熱を伝えるために、他の具材を入れる前に、まずひき肉だけを「スチーム解凍」しておきます。

【手順】
①凍ったひき肉をフライパンにのせ、ジューっと音がたつまで加熱します。
②音がたち始めたら、ひき肉100gにつき35mlの水を入れ、ふたをして蒸します。

③強火で3分加熱し、火を止めて余熱で1分熱を通せば解凍完了です。そのまま他の具材を加えて調理を進めましょう。

レンジで解凍する

レンジを使えばスピーディーな解凍が可能ではありますが、あまりおすすめできない解凍方法です。レンジで冷凍食品をおいしく解凍するのは非常に難しいためです。理由は、レンジの仕組みにあります。

レンジは食品に電磁波を当てることで食品自体を発熱させる装置です。発熱のしやすさは食品によって異なり、水は発熱しやすく、氷は発熱しやすい性質を持っています。食材の水分が多い部分が発熱すると、レンジのセンサーがこれを感知し、まだ凍っている部分があっても加熱を終らせてしまうのです。
中はまだ凍っていたから、と再加熱してしまうと、今度はすでに解凍が完了していた外側部分に過度に熱が通ってしまいます。
解凍ムラに加えて「高温で」「急速に」といった“ドリップが発生しやすく傷みやすい条件”も揃っているため、ひき肉をおいしく解凍することは非常に難しいのです。
それでも「今すぐにひき肉が必要だ」という場合には、レンジで解凍後すぐに使い切るようにしてくださいね。

【手順】
①耐熱皿の上にキッチンペーパーを敷き、ラップを外したひき肉をおきます。キッチンペーパーを敷いておくと、解凍中に発生したドリップをすぐに吸収してくれます。
②150~200Wの弱モードで、100gあたり2分を目安に加熱します。はじめは加熱時間を短くセットしておき、様子をみながら追加加熱を行うようにしましょう。

ひき肉の常温解凍はNG

ひき肉の常温解凍はNGです。室温である20度前後は雑菌がもっとも繁殖しやすい温度であるため、中心部に解凍が進む前に表面部の傷みが始まってしまい、食中毒を招く恐れがあるためです。
食中毒は特に梅雨から夏の時期に多く発生しており、夏場の食中毒の原因として高い割合を占めるのが牛肉や鶏肉に付着した大腸菌です。特に抵抗力の弱い子どもや妊婦、高齢者などは重い症状になりやすいため注意が必要です。
解凍スピードや手軽さ以前に、安全に食べられる解凍方法を選択することが最優先です。

ひき肉を解凍した後の賞味期限

冷蔵のままでは2日前後しか日持ちしないひき肉も、冷凍することで2週間ほどまで保存期間を延ばすことが可能です。では、解凍した後のひき肉の日持ちはどれくらいなのでしょうか。

氷水で解凍した場合

ひき肉を氷水で解凍した場合の日持ち目安は、冷蔵で2日です。ただし、「解凍中から解凍後の環境が5℃を上回らないこと」が条件です。せっかく0℃前後の氷水で解凍できても、「あとで冷蔵庫に入れよう」とそのまま長時間放置してしまうと、夏場であればあっという間に氷が溶けて水温も上昇してしまうでしょう。

雑菌が繁殖し始めるのは5℃からですので、解凍を確認したらすぐに冷蔵庫に移すことで新鮮なまま保存することが可能になり、冷蔵保存で翌日まで使えるようになります。

冷蔵庫で解凍した場合

冷蔵庫で解凍した場合の日持ち目安も2日で、やはり5℃を上回らないことが条件です。
冷蔵庫の保存では、扉の開け閉めによる温度変化が心配です。影響をなるべく受けない位置で解凍し、解凍後は調理するまで取り出さず保存するようにしましょう。

フライパンで解凍した場合

フライパンで解凍した場合にはそのまま調理することがほとんどでしょう。そのため、調理したひき肉の保存期間を参考にします。

ほかの食材の影響もありますが、冷蔵保存で2~3日はおいしく食べることができるようです。一緒に炒めた食材も考慮して、一番短い期間内に食べきるようにしましょう。

電子レンジで解凍した場合

要注意なのは、レンジで解凍した場合の保存期間です。
先に紹介したとおり、レンジ解凍では解凍ムラが起こりやすく、部分的に熱が通りすぎてしまうのが特徴です。解凍中に過剰に熱が通った部分は非常に雑菌が繁殖しやすいため、すぐに加熱調理してその日中には食べきってしまうようにしてください。

一度解凍したひき肉は再度冷凍しない


ひき肉を解凍したものの使い切れずに余ってしまったような場合には、「もう一度冷凍したい」と思う人もいるかもしれませんが、一度解凍したひき肉の再冷凍はおすすめできません。一度目の冷凍ですでに繊維が壊れてしまっているために、鮮度や旨味を保ちにくくなっているためです。
また、一度目の解凍過程ですでに雑菌が混入・繁殖している可能性も考えられます。
冷凍時に小分け冷凍を心がけ、使い切れる量だけ解凍するようにしましょう。

まとめ

ひき肉をおいしく解凍する方法をマスターできれば、安売りの日にたくさん買い込んで冷凍ストックしても上手に使いこなせるようになるでしょう。
いろいろなレシピに使いやすいひき肉は、大人にも子どもにも大人気です。おうち時間が増えている今、ひき肉をお得にゲットしていつでも使えるようにスタンバイしておくと、日々の負担も軽減されるかもしれませんね。

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