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食のコト 2021.09.01

ヒレ肉のおいしい焼き方とは?調理器具別の焼き方もご紹介!

脂肪が少なく、老若男女問わず食べやすいことで人気のヒレ肉は、牛肉の中でももっとも柔らかい部位としても知られています。ヒレ肉の持つ柔らかさを失うことなく、おいしく仕上げる焼き方をご紹介していきましょう。

ヒレ肉とは?


ヒレ肉とは、牛や豚などの骨盤の内側にある「大腰筋」のことです。肉の部位のなかではもっともも運動しないところにあるため、非常に柔らかく脂肪もほとんどないことから特に女性やアスリートに人気の高い部位です。

一頭の豚や牛から取れる肉の量が少ないヒレ肉は、希少価値が高いお肉としても有名です。東日本では「ヒレ」と呼ばれますが、西日本では「ヘレ」、フランス語では「フィレ」と呼ばれることが多いようです。

ヒレ肉の最大の特徴は、なんといってもジューシーで柔らかい肉質。脂肪分が少ない赤身肉でありながらも水分量が多くキメ細やかで、繊細な食感を楽しむことができますよ。

豚ヒレ肉の特徴

豚ヒレ肉は、背中肉であるロースの内側にあるお肉で、豚一頭から2本しか取れません。そもそも、ロースやバラ肉などを含む精肉は豚一頭でおよそ50kgありますが、ヒレ肉は1本およそ500g、一頭からは約1Kgしか取れないため、極めて希少価値が高いとされています。

エネルギー代謝に必要不可欠な「ビタミンB1」をはじめ、たんぱく質やミネラル分など、エネルギー源となる重要な栄養素が豊富に含まれています。豚肉のビタミンB1含有量は牛肉の約10倍だといわれていますが、 そんな豚肉のなかでも、ヒレ部分は特に多くのビタミンB1に恵まれているそうです。
筋肉質な豚ヒレ肉はロース肉に比べて脂肪分も少ないため、ダイエット中の人にもおすすめでしょう。

豚肉や鶏肉は、解体作業の過程によって腸内細菌が肉に付着しやすい傾向にあり、レアやミディアムのような生の状態で食べるのは危険です。食中毒のリスクが高まりますので、しっかりと中まで火を通すようにしてくださいね。

牛ヒレ肉の特徴

牛肉においても、ヒレは背骨の腰に沿うようにある棒状のブロック肉で、背骨の両側にしかなく、牛一頭に対し2本しかない希少な部位です。サーロインと並ぶ高級部位として扱われ、“牛肉の王様”と称されるサーロインに対し、ヒレは“牛肉の女王”と呼ばれています。

脂身が極めて少なく、どのランクの牛でもとても柔らかいのが特徴です。低脂肪でありながら高たんぱくで、鉄分や亜鉛、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、B12などの栄養素が豊富に含まれているのも人気の理由でしょう。

牛肉の場合は、肥育環境や体質から肉の内部までウイルスや寄生虫が存在している可能性が低いため、牛ヒレ肉の柔らかさを存分に味わうためにも、レアやミディアムレアといった焼き加減がおすすめです。

ヒレ肉をおいしく焼くコツ

ヒレ肉をおいしく焼くためにはいくつかのコツがあります。しっかりとコツをおさえて、最良の状態でいただけるようにしましょう。

焼く直前に塩コショウを振る

ヒレ肉に下味をつける際に重要なのは、塩コショウを振るタイミングです。必ず、焼く直前に塩コショウを振るようにしましょう。お肉に塩を振って長い時間置くと、浸透圧によって水分が出てきます。この水分とともにうまみ成分が流出してしまうばかりでなく、焼いた後の食感にもパサつきが出てしまうのです。

肉に塩を振る理由は、「下味をつけるため」と「表面のたんぱく質を凝固させてうまみを逃さないようにするため」であり、魚の場合のように臭み取りの意味はありません。コショウも下味をつけるために振りますので、香りが飛ぶのを防ぐためにも、塩と同じく焼く直前に振るのがベストです。

なお、塩コショウを振るときには高い位置(お肉から30cmくらい)のところから振るようにしましょう。全体にまんべんなく、均一に振ることができますよ。

表面を焦がして肉汁を閉じ込める

豚ヒレ肉の場合は中までしっかり火を通す必要がありますが、牛ヒレ肉の場合には、好みの焼き加減を選べます。しかし、例えレアを選んだとしても、まずは高温で「表面を焦がす」ことがポイントです。お肉の両面を焦がし固めることで、肉汁が流れ出ることを防ぎ、内部にうまみを閉じ込めるのが目的です。

また、表面が高温で熱せられることによって細胞内の糖とアミノ酸が結合し、褐色に変わって香ばしさが増すといわれています(「メイラード反応」といいます)。メイラード反応を起こすことによって、よりヒレ肉のおいしさを引き上げることができるのです。

お肉の中の温度を適温にする

表面を焼き固めて肉汁の流出を防ぐことができたら、今度はうまみを閉じ込めたお肉の内部を最適な環境に整えていきましょう。ヒレ肉のたんぱく質には、たくさんの水分が含まれており、たんぱく質を加熱しすぎるとうまみ成分を豊富に含む水分が流れ出やすい状態になります。「ヒレ肉をおいしく焼く」ということは、「水分(肉汁)を中心部に残しながら火を通す」ということなのです。

一見難しい話のようですが、テクニックは簡単です。表面が焼けたら火から下ろし、余熱を利用して内部に火を通すのです。
お肉のたんぱく質が収縮し、肉汁が出やすくなる温度は66℃といわれています。お肉の内部を65℃以下に保ちつつ中まで火を通すためには、余熱を活用するのが最適です。

ヒレ肉をおいしく焼くための三種の神器

ここで、ヒレ肉をおいしく焼くためのとっておきの道具を3つご紹介します。ヒレ肉をおいしくやくための“三種の神器”としてぜひ覚えておいてくださいね。

厚手のフライパン

ヒレ肉を焼くときには、自宅にあるフライパンの中でも厚手のものをチョイスするようにしましょう。厚手のフライパンは全体の温度を保ちやすく、お肉全体を均等に焼き上げることが可能です。

フライパンの素材にも注目です。一般家庭でよく使用されているのはテフロン加工のものですが、高温に弱いのがデメリット。使用する場合には、余熱の際には中火からゆっくり温度を上げるようにしてくださいね。

おすすめなのは、熱伝導率の高い鉄製や鋳鉄製のフライパン。なかでも最近人気のスキレットであれば、そのまま食卓に出してもおしゃれですし、洗い物を減らすことができるのもうれしいポイントです。

岩塩

ヒレ肉のような良質なお肉には、良質な塩がよく合います。日常的に多くの家庭で使われている「食塩」は海塩で、水分に溶けやすく、味に「カド」がある塩っ気が特徴的です。

一方の岩塩は、わかりやすくいうと“海水が化石化したもの”で、大昔の海水から長い年月をかけて作られた天然塩です。水に溶けにくく、精製塩よりも丸みや旨味があるのが特徴です。塩化カリウムや塩化ルビジウム、マンガンなどのミネラルなどが含まれており、有機物の含有量によって色が異なります。

岩塩自体は溶けにくいため、下味として利用するのではなく、ヒレ肉を焼いて食べる前にミル挽きして振りかけるのがおすすめです。岩塩本来の甘みが感じられ、肉の甘みと非常にマッチします。

黒コショウ

コショウにもいろいろ種類がありますが、なかでもヒレ肉には完熟前の緑色の実を発酵させた黒コショウ(ブラックペッパー)がおすすめです。お肉料理全般によく使用される種類ではありますが、辛味や風味が強いことから、素材の味がしっかりした赤身肉にはぴったりです。

調理器具ごとのヒレ肉のおいしい焼き方のコツ


ヒレ肉を焼く場合、おすすめの調理器具はフライパンとオーブンのどちらかです。ここでは、それぞれのおいしい焼き方を確認しておきましょう。

フライパンを使ったヒレ肉のおいしい焼き方

フライパンを使ってヒレ肉を焼くときの最初のポイントは、「フライパンの余熱」です。焼きはじめには煙が上がるほど高温に熱しておくことが理想です。先にも紹介しましたが、ヒレ肉を焼くときには、表面を焦がして肉汁を閉じ込める工程が欠かせません。一気に表面を均一に焼き固めるため、「熱伝導率の高い」「厚手」のフライパンを使うことが必須です。

まずは、よく熱したフライパンで両面を1分前後焼き肉汁を閉じ込めます。その後は牛ヒレ肉の場合には火から下ろして余熱で火を通しますが、分厚い豚ヒレの場合には、中までしっかり熱を通すために弱火にしてもう少し加熱しておきましょう。ある程度火が通ったら、牛ヒレ肉同様に火から下ろして長めに休ませて仕上げます。

オーブンを使ったヒレ肉のおいしい焼き方

ヒレ肉は、オーブンに任せるとほぼ失敗なくジューシーに焼きあがります。オーブン調理は熱した空気でゆっくり加熱するため、特に豚ヒレ肉を焼くのに最適です。家庭用の小さいオーブンで上手に焼くコツは、温度設定にあります。天板からの熱が強すぎて表面だけが焦げることがあるため、設定温度を120〜130℃の低温にすることがポイントです。

オーブンを130℃に設定し、予熱しておきます。この間に天板にヒレ肉を並べ、表面に刷毛でオリーブオイルを塗っておきましょう。こうすることで表面が乾燥することを防ぎ、よりしっとりと仕上がります。
オーブンに入れたあとは、焼き上がりまで待つだけです。表面全体が灰色になれば、ミディアムレアの焼き上がりサイン。肉を反転させ、さらに5分程焼いて取り出しましょう。
焼き色をつけるため、最後にフライパンで表面をパリッと焼くと香ばしさがアップしますよ。

アルミホイルを使ってもっと美味しく

ヒレ肉の中の温度を適温にするために余熱を活用する方法をご紹介しました。この際に便利なアイテムが、アルミホイルです。火から下ろしたヒレ肉をアルミホイルで包むことで、サウナ効果が期待できるのです。

アルミホイルで包むと、ヒレ肉から放出される熱を効率よく内部に伝えられるだけでなく、肉汁の流失も抑えられます。肉をアルミホイルで包んでおいている間に、ヒレ肉の乾燥している部分が肉汁を吸収していきます。さらに、肉が少し冷めてくると、肉汁が濃くなって粘りが出てきます。そのため、ヒレ肉をカットしたときにも肉汁が流れ出にくくなるのです。
アルミホイルを積極的に活用して、より美味しくヒレ肉を味わいたいですね。

厚いヒレ肉のおいしい焼き方


3㎝を越えるような厚いヒレ肉を焼く場合には、ヒレ肉の両面に焼き色をつけただけでは十分に肉汁を閉じ込められない可能性も考えられるため、側面にも焼き色をつけるとよいでしょう。トングを使ってヒレ肉を立て、フライパンに押し当てるようにして側面も焼いていきます。

よく焼き色をつけている間に肉汁や脂が流れ出てきた場合には、スプーンですくってヒレ肉に回しかけるようにしながら焼くのがおすすめです(これを「アロゼ」といいます)。アロゼをすると、うまみを逃さないばかりでなく、表面の乾燥を防いでツヤ良く仕上げることができますよ。

余熱を通す際にも注意が必要です。余熱時間を長めにとることももちろんですが、中までよく火を通したい豚ヒレ肉の場合には、弱火で十分に加熱してから火を止めて休ませるようにしてくださいね。

ヒレ肉をもっとおいしくするひと手間

ここまでおいしいヒレ肉の焼き方をくわしくご紹介してきました。上質なお肉であるヒレ肉は、焼いただけというシンプルな調理法でも十分おいしく楽しめるのが魅力ですが、ちょっとひと手間かけると、また違った顔を楽しめる食材です。
おすすめのアレンジ方法を2つご紹介しておきます。

赤ワインで香りづけ

お店でヒレステーキを注文すると赤ワインを進められることも多いように、ヒレ肉と赤ワインは非常に相性のよい組み合わせです。ならば、焼きの仕上げに赤ワインに活躍してもらうのもひとつの手でしょう。

ヒレ肉を焼いたあと、最後の仕上げに赤ワインを少量振りかけて少し焼き、余熱で内部に熱を通します。肉汁と一緒にワインが染み込んで、芳醇な香りを楽しむことができますよ。
お好みで、赤ワインの代わりにシェリー酒やブランデーを使うのもおすすめです。

バターを加える

フランス料理では、「ステーキは泡で焼け」といわれるほど、熱されてブクブク泡だったバターをお肉にすくいかけながら焼く方法が王道なのだそう。お肉のなかでも柔らかくてきめが細かく、脂肪の少ない赤身肉は、特にバターを加えてやくと一層おいしくなるそうですよ。

フライパンにサラダ油(焦げ防止)とバターを各大さじ1入れ、バターがムース状に泡立ったところで、ヒレ肉を入れます。中火で黄金色がつくくらいまで、スプーンでバターをお肉に回しかけながら焼き、ひっくり返します。このとき、バターの温度を下げるためにバター大さじ1/2を追加することがポイントです。バターは薄茶色のムース状態を保つようにしてください。

バターは焦げやすいためつい火を弱めすぎてしまいそうなのですが、チリチリと音が立つくらいが最適です。焦げ付かず、音が消えない程度に火加減を調整しながら焼いてくださいね。

まとめ

柔らかくて上品な味わいのヒレ肉は、自宅でジューシーに仕上げるのは難しいと思われがちですが、コツさえつかめば、お店に負けず劣らず美味しく焼くことが可能です。お肉を焼く、という至ってシンプルな調理方法だからこそ、おさえるべきところをしっかりおさえさえすれば、だれでも上手に焼けるのです。
ステーキの女王とも呼ばれるヒレ肉を、ぜひ自宅でも楽しんでみてくださいね。

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