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食のコト 2021.09.01

おいしいもつ鍋、もつの下ごしらえの方法とは?

野菜たっぷりで手間いらずの鍋料理は寒い季節の定番です。なかでも、コラーゲンが豊富で低カロリーのもつ鍋は、女性にも大人気。今回は、本場・博多では家庭料理としても食卓に並ぶというもつ鍋のおいしい作り方やもつの下ごしらえについて紹介します。

そもそももつとは?


「もつ」とは、内臓を意味する「臓物」が語源で、牛や豚の内臓の総称です。臓物の中でも量の多い小腸や大腸を指すことがほとんどで、関西地方では「ホルモン」(昔は食べずに廃棄していたため“放るもん(=捨てるもの)”から由来するという説が有力)とも呼ばれ、鍋や鉄板焼き、煮込み料理などに使われています。

「放るもん」と揶揄されるくらいですので栄養面で不安がありそうなものですが、実は、ロースやヒレといった正肉に比べても栄養素が高く、疲労回復や免疫力、皮膚粘膜をサポートするビタミンB群やビタミンA、鉄分や亜鉛も多く含まれている栄養豊富な食材です。部位ごとに食感や味が異なりますが、主にコリっとした弾力のある歯応えが特徴的で、正肉とはまた別の味わいが楽しめます。

値段も正肉よりお手頃なのもうれしいポイントで、まさに「庶民に親しまれているお肉」といえるでしょう。

おいしいもつ鍋は素材から

お店で食べるもつ鍋はプルプルなのに、自宅では上手に再現できない、という経験はないでしょうか。また、「自宅で作ったもつ鍋は臭みが気になる」という人も多いようです。
違いの理由は、使用しているもつにあるようです。お店ではどのようなもつを使っているのか知っておきましょう。

牛の生もつを使う

もつ鍋の本場として知られる博多には、たくさんのもつ鍋専門店が軒を連ねています。
家庭でもつ鍋を作る際には、スーパーなどでよく売られている「ゆで豚もつ」を使うことが多いようですが、博多のもつ鍋専門店では、主に鮮度のよい国産の「牛の生もつ」が使われているのです。本場もつ鍋のプリプリ感やとろっとした甘さは、ゆでて脂が落ちた「ゆでもつ」では再現できません。豚のもつはクセや臭みが強いため、何度も下ゆでしてから丁寧に洗う必要があり、濃い味つけで調理するもつ煮込みやもつ焼きなどには向いていますが、博多もつ鍋にはご法度だといわれています。

部位は小腸を使用する

牛の生もつとひとことでいっても、いろいろな部位があります。なかでも、主に博多もつ鍋の専門店で使用されているのは、「小腸(マルチョウ)」です。小腸は白い脂がたくさん付着している部位で、一般的な精肉店では下ゆでして脂が取り除かれた状態で店頭に並んでいることがほとんどです。これは、脂がついたままだと時間が経つほどに臭みが増すためで、すぐ売れるかわからない店頭に並べる上では避けられない処理だといえるでしょう。

しかし、もつ鍋専門店で味わう“プルプルの食感” は脂によって生まれるものであり、本格もつ鍋を楽しみたいのであれば「生」の小腸を手に入れる必要がある、ということです。
最近では、「家でも専門店のようなもつ鍋を楽しみたい」という需要に応えるため、店頭でも生もつを扱うところも増えてきました。ネット通販では、もつ鍋専門店から生もつを入手することも可能ですので、積極的に利用するとよいでしょう。

もつの下ごしらえが必要な理由

先にも説明したとおり、もつの臭みの原因となるのは、もつに付着する脂や汚れです。もつのなかでも、特に豚もつはくせが強いといわれています。

豚もつの場合、大腸(シロ)やハツ(心臓)、レバー(肝臓)、テッポー(直腸)などさまざまな部位がミックスされて販売されていることが多いのも特徴です。家庭でもつ鍋に使用する際にはいろいろな味や食感が楽しめるためファンも多いのですが、苦手な人も同数近くいるようで、食べやすさのためにも下ごしらえをおこなう精肉店も少なくありません。

先ほどもつ鍋専門店では生の牛もつを使用していると紹介しましたが、たとえ新鮮な生もつであっても、下ごしらえなしでマルチョウをそのまま鍋に入れてしまうと必ず臭みが発生します。また、店頭で「ボイル済み」と記載したもつを買ってきた場合にも、“ただ茹でただけ”で正しい下処理がされていないものも多いため、自宅でも改めて下ごしらえをおこなったほうが安心でしょう。

どんなもつを使う場合でも、家庭でおいしいもつ鍋を食べたい場合には、正しい下ごしらえが必要だということです。

茹でてもつ鍋の下ごしらえをする方法


スーパーや大型店の精肉コーナーでもつを手に入れる場合、いくつかの問屋や卸を経由してから肉が届くため、なかなか新鮮なものが手に入りにくいのが現状です。もつ鍋をおいしく楽しむためには、正しい下ごしらえの知識が不可欠です。しっかりチェックしておきましょう。

茹でこぼしする

もつの臭みを取るためには、「茹でこぼし」という下ごしらえが欠かせません。
茹でこぼしとは、臭みや灰汁、渋み、ぬめりなどを取り除くため、一度食材をゆでた後にゆで汁を捨てることです。言葉の響きから「沸騰させながら茹でてゆで汁を溢れさせる」と勘違いしている人もいるようですので、正しく覚えておきましょう。沸騰したお湯で湯がくことによってくせを取るもので、もつのほかにも、ほうれん草やじゃがいも、里いも、こんにゃく、小豆類の下ごしらえに用いられます。

鍋にたっぷりとお湯を沸かしてもつを入れ、「食べようと思えば食べられる」程度の火の通り加減まで湯がきます。もつの量にもよりますが、5分前後が目安です。一度茹でるたびに湯切りしてお湯を変え、2~3回繰り返してお湯が濁らなくなったら、下ごしらえ完了です。

茹でこぼしの際に、長ネギの葉やショウガといった薬味食材を一緒に入れるとさらに効果的です。茹でたあとのお湯には、相当量の脂が浮きます。そのまま流してしまうと排水溝の掃除が大変な上、環境にも優しくありません。もつを取り出した後には浮いた脂をすくい取ってからお湯を流し、脂は固まってから廃棄処分するように心がけましょう。

水で洗いもつをカットする

茹でこぼしたもつはザルにあげて湯切りをし、キッチンペーパーなどでしっかりと水分を拭き取ります。水分が残ってしまうと、調理した時に味が薄まる原因になりますので注意してくださいね。

水分が取れたら、もつをカットしていくのですが、ここで大事なポイントがあります。
もつの腸壁(薄茶色でしわっぽい部分)には、熱を加えると1/3~半分ほどのサイズに縮んでしまうという性質があります。これを考慮してもつをカットしておく必要があるのです。
ここでは、一口サイズよりも少し大きめの、4~5cmくらいの大きさにカットしておくのがおすすめです。

小麦粉を使ってもつ鍋の下ごしらえをする方法

茹でこぼしのメリットは「もつの余分な脂分を十分に落とすことができる」点なのですが、一方で、脂分はプルプルの食感のもととなったり、コク出しにもなったりするため、完全に除いてしまうのは避けたいという人もいるでしょう。茹でこぼし以外にもいくつか下ごしらえの方法がありますので紹介しておきます。いろいろ試してみて、好みの方法を探してくださいね。

塩と水でもみ洗いする

生もつの処理におすすめの方法です。この方法では、もつに塩をもみ込む際に手に大量の脂が付着することがありますので、気になる人は使い捨てのビニール手袋などを使用してくださいね。

まずは、もつを一度流水でしっかりと洗い流し、多量の塩を振りかけます。振りかけた塩を、しっかりともつ全体に手でもみ込んでいきましょう。もみ込む時間に決まりはありませんが、30秒ほどが目安です。塩には、臭みだけでなくぬめりも吸着する効果があります。
しっかりと塩をもみ込んだら、流水できれいに洗い流します。
これを3回ほど繰り返せば、下ごしらえの完了です。

小麦粉を揉み込む

塩の代わりに小麦粉を使う方法もあります。もつを流水でしっかりと洗い流し、もつが隠れるくらいたっぷりの小麦粉を振りかけます。薄力粉や強力粉といった小麦粉の種類で効果が変わることはありませんので、余っているものを使いましょう。洗濯物を洗うような感じで、ゴシゴシとしっかり小麦粉をもつに揉み込むようにして洗います。小麦粉には、臭いの元となる汚れを吸着する効果があるのです。

よく揉み込んだら、そっと冷たい水を流し入れます。小麦粉で揉み込んだ場合には、流水で洗う方法では排水溝が詰まりやすいため、あまりおすすめできません。

もつをひとつずつ指でつまみ、冷水の中でゆするようにして小麦粉を落とします。小麦粉が落とせたら、キッチンペーパーの上にあげていきましょう。ここでは、なるべく手早く作業することがポイントです。

これを繰り返し、全てのもつをキッチンペーパーにあげていきます。ここではしっかりと水気を切っておきたいところですので、キッチンペーパーが湿ってきたらこまめに取り換えるようにしてくださいね。
冷凍もつの場合には、全体の工程を2~3回ほどおこなうのがおすすめです。

臭いが気になれば下茹でする

塩や小麦粉で揉み込んでもまだ臭いが気になるような場合には、加えて下茹でをするとよいでしょう。ただし、もつのうまみを損なうことを防ぐため、茹ですぎには注意が必要です。
最適な茹で時間の目安は5分程度です。ここでも、臭み取りのためには長ネギの葉やショウガといった薬味食材を一緒に入れて茹でると効果的です。
もつ鍋専門店から仕入れた新鮮な牛の生もつの場合には臭みが少ないため、本来下茹ではあまり必要ありません。それでも臭みが気になるようであれば、沸騰したお湯でさっと湯がく程度で大丈夫でしょう。

美味しいもつ鍋の作り方


どんな料理にも、おいしく作るためには最低限まもっておきたい手順というものが存在します。鍋料理においても、「具材を入れて火にかけるだけ」というわけにはいかないものです。
もつ鍋の場合にもいくつかおさえておきたいルールがありますので、しっかりと確認しておきましょう。

スープ、野菜、もつの順に鍋に入れる

「食材を入れてからスープを注ぐ」というご家庭も多いかもしれませんが、博多のもつ鍋専門店が推奨する順番は、「スープ、野菜、もつ」の順です。また、鍋料理の多くは“食材のエリア”を定めて同じ食材同士を固めて鍋に入れていることが多いでしょう。しかし、もつ鍋では、具材を“層のように重ねる”ことがポイントです。

野菜をのせる順番に関しては、野菜の水分量を目安にしましょう。水分が多いものほど下になるようにのせていくと、全体が早くスープに浸ることになるためです。一般的には、キャベツを最下層に敷くことが多いでしょう。食感を残すためにも、ザクザクと大きくカットしておくと食べごたえがあります。

もつ鍋以外の鍋料理では、お肉は先に入れることが多いのではないでしょうか。もつ鍋の場合、もつは下処理を済ませてすでに食べられる状態で入れることが多いことや、生もつを入れた場合でも火の通りが早いことなどから、野菜の上に置くことが通例です。多量の野菜の下にいれてしまうと主役であるもつが見つけにくくなるため、という側面もあるようです。
野菜のなかでも、ニラだけはもつよりあとに入れることもあります。火が通りやすいニラのシャキシャキとした歯ごたえを残したい場合には、最後にニラを盛るとよいでしょう。

もつは煮込まない

「もつ煮込み」という料理があるためか、「もつは煮込むもの」と勘違いしている人も多いようですが、新鮮なもつはプルっと膨らむ程度に火が通れば食べられますし、そのくらいが一番おいしく食べられる“食べごろ”です。

また、下ごしらえが必須のもつの場合、ある程度食べごろに近い状態まで処理してから鍋に入れることがほとんどですので、過度に加熱していまうと必要な脂まで流出してしまい、もつがやせてしまいます。

もつ鍋を食べ始めるタイミングは、「具材全体がスープに浸かったとき」です。煮込みすぎないうちに食べきるようにしてくださいね。

水分の多い野菜はNG

キャベツを最下層に敷く、と紹介しましたが、裏を返せば「キャベツより水分量の多い野菜はもつ鍋には向かない」ということでもあります。スープが薄まってしまうほどの水分量を含む野菜は、あまりもつ鍋向きではありません。例えば、一般的な鍋料理で使用されることも多い白菜やもやしなどは、もつ鍋ではおすすめできません。
アレンジを効かせたい場合には、ごぼうなど繊維質な野菜がおすすめです。

スープの味が変わる野菜はNG

味のアクセントとしてにんにく、赤唐辛子、ごまをちらすことはありますが、スープ自体の味が変わってしまう野菜の使用はNGです。
「えのきはセーフですがしいたけはアウト」といえばわかりやすいでしょう。いわゆる出汁が取れるような食材は不向き、ということです。

まとめ

自宅でもつ鍋を作る場合、下ごしらえの手間はかかりますが、好みの具材やシメなどが選べるため、バリエーション豊かに楽しむことができそうですね。これまでは「もつ鍋はお店で食べるもの」と思ってきた人も、ぜひ挑戦してみてください。

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