
茶色くなるのを防ぎたい食べ物、茶色くなることで美味しさが生まれる食べ物
目次
りんごやバナナ、じゃがいもなど、切ったまま置いておくと色が変わってしまう食べ物があります。
なぜ、色が変わってしまうかご存知ですか?
色が変わってしまう『褐変』には「酵素」が関わっています。
身の回りで起こる小さな化学反応
『褐変』は「酵素」による化学反応です。
「酵素」と聞くと、難しいイメージですよね。でも、決して難しくはありません。
身のまわりで、たまたま化学反応がたくさん起こっているだけなのです。
「酵素」の働きによって褐変が起こる
りんごやバナナ、じゃがいもの色素に「酵素」が反応して、色を変色させてしまうのです。
ただ、この「酵素」には弱点がいくつかあります。
食べ物を変色させてしまわないために
・食塩水または酢水につける→酵素の活性化を抑制する
・加熱→酵素の活性を失活させる
・脱酸素剤などで酸素を除く→酸化反応の停止
脱酸素剤とは、おせんべいや海苔の袋の中に入っている乾燥剤のこと。
普段何気なくりんごの皮をむいた後に食塩水につけているかもしれませんが、こういう仕組みがあったんですね。
「酵素」が影響しない『褐変』
りんごやバナナ、じゃがいものように「酵素」の働きによって『褐変』が生じることがありますが、「酵素」が関わらなくても『褐変』は起こります。
例えば、醤油。これも『褐変』により茶色くなっています。
普段みなさんが目にする醤油は、麹→もろみ→生揚→醤油という段階を経て完成します。
主原料である大豆と小麦から、たんぱく質が分解されてできるペプチドやアミノ酸とぶどう糖などの糖分が、もろみ中に溶出してきます。
そのとき、「アミノカルボニル反応」という反応が起こり、その反応によって生産される「メラノイジン」という褐色物質。これが醤油の色を作り出しています。
さらにこの反応のスゴイところは「色」だけでなく、焼いたときに漂う香ばしい「香り」も同時に作り出します。
加熱して茶色くなる=アミノカルボニル反応ではありません。
【アミノカルボニル反応】
アミノ酸(無色)+糖(無色)→加熱→メラノイジン(褐色)+風味成分
難しい言葉がたくさん出てきてわかりにくかったかもしれませんが、身近でよく使う調味料も化学反応によって作られ、その風味を楽しんでいると思うと化学が少し身近に感じませんか?
文/影山奈々恵
プロフィール
食未来リンク 副代表
影山奈々恵
管理栄養士×フォトグラファーとして幅広く活動。
保育園で活きた食育や給食・おやつを通して「なんでも食べる子ども」を育んでいるだけでなく、生産者と消費者の架け橋となる食未来リンクの副代表を務め、様々な食に関わることや音楽家による演奏会にて、「ありのまま」や「日常」の大切にし、その瞬間を切り撮る。
なるほど。
よくわかりました!